タイトル |
リンゴ摘果作業を効率化し手の負担を減らす摘果ハサミ |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター |
研究期間 |
2012~2012 |
研究担当者 |
太田智彦
大西正洋
井上利明
畠山隆幸
及川耳呂
石田昌宏
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発行年度 |
2012 |
要約 |
開発した摘果ハサミは、リンゴの全摘果に適した3枚刃構造であり、一度の切断動作で多くの果梗を切断できる。慣行ハサミによる摘果より開閉回数が30%少なく、長時間のハサミの開閉による手の負担を軽減でき、さらに摘果作業を15%効率化できる。
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キーワード |
リンゴ、摘果、ハサミ、全摘果、労働負担軽減、効率化
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背景・ねらい |
リンゴなどの摘果は作業適期が限られ、しかも、大規模果樹園では雇用労力を頼る必要があることから、生産者からは、低コスト生産の上から労力の削減が強く望まれている。また、摘果作業では葉を避けながら果梗を1本1本切断する細かい手作業であるとともに、ハサミによる開閉動作は腱鞘炎等の健康障害の一因とされることから、労働負担の軽減も望まれている。そこで、リンゴを対象に、摘果作業の効率化が可能で手の負担を減らす摘果ハサミを開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 開発した摘果ハサミは各刃間最大開き角度35°の切断刃3枚、慣行ハサミと同じプラスチック製握りで、左右刃間の角度が変わっても常に中央に刃を配置させるリンク部品から構成される(図1、表1)。全長160mm、全重70gで、3枚組合わせた刃の形状・大きさがリンゴの果そうを同時に切断する全摘果に適している。
- 中央刃によりハサミを果そうに挿入しやすくなったことで同時に複数果梗の切断が可能となり、1度の開閉動作で全果梗が切断できる果そうの割合が慣行ハサミより多くなる。切断時の操作力(約5N)、ストロークともに慣行ハサミと同等である。
- 「ふじ」、「つがる」ともに開発した摘果ハサミを利用することによって、1果そう当たりの開閉回数が慣行のハサミによる摘果より最大65%、平均29%低減し、1果そう当たりの摘果速度が最高27%、平均13%向上する(図2)。
- 開発ハサミで切断した後の果梗基部の長さは10mm以下で慣行ハサミと同等であるので、果実に傷をつけることはない。「ふじ」、「つがる」、「さんさ」など主要品種で、開発ハサミにより、5名で延べ10時間程度の摘果を行った結果、全員から「取扱性については慣行と同等であり、慣行より効率的である」との評価を得ている。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:リンゴ生産者。
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:普及対象面積は国内リンゴ園40,500ha、生産者数約52,000戸であり、普及見込み割合は5年間で約2%、普及見込み数は1,000丁である。
- その他:2013年度市販化予定である。過去に開発した高機動型高所作業台車(2010年成果情報)と組み合わせ、一層効果的に摘果作業の省力軽労化を行うことができる。また、通常のハサミとして、リンゴだけでなく園芸作全般に利用可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/brain/2012/600c0_01_81.html
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カテゴリ |
軽労化
市販化
低コスト
品種
りんご
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