渥美外海におけるヤリイカの資源生態の解明及び漁況予測手法の開発

タイトル 渥美外海におけるヤリイカの資源生態の解明及び漁況予測手法の開発
担当機関 愛知県水産試験場漁業生産研究所
研究期間 2010
研究担当者 日比野学
発行年度 2013
要約 秋の小型底びき網漁業の重要対象種であるヤリイカの資源生態と漁況予測法について検討した。渥美外海におけるヤリイカは、水温12~15度に分布し、同水温帯で産卵していることが実測により明らかになった。経年的な沿岸定線水温データ等を用いることで、ヤリイカCPUEの変動を説明する有意な重回帰式が得られ、漁況予測手法の一つとして使用可能となった。
背景・ねらい ヤリイカは渥美外海で操業する小型底びき網漁業にとって、秋の重要な漁獲対象種である。本海域における本種の資源生態情報は断片的な報告に留まり、効果的な資源管理を検討する上で知見の蓄積が不可欠である。また、季節的な水揚げとなるため、営漁計画や流通でも漁況予測へのニーズは高く、漁期前のモニタリングデータ等を活用した定量的な漁況予測法の開発が望まれる。
成果の内容・特徴 1.底びき網漁具に自記式水温計を装着することにより、曳網水深における水温を検討した結果、ヤリイカは水温12~15℃に分布しており、成長とともに低水温に分布する傾向が認められた(図1)。また、渥美外海において自記式水温計を取り付けた産卵床を設置し、産卵床にヤリイカ卵嚢の付着とともに水温12~15度で産卵されていることが明らかになった(図2)。他海域と同様に渥美外海においても、底層水温により分布や産卵域が規定され、水温により本種の深浅移動が行われる可能性が示唆された。

2.漁期中の外套長組成の変化から複数の発生群が加入しているとみられ、漁期前1回の試験操業では資源量全体を把握するのは困難と考えられた。1998年から2011年の漁期前の愛知県沿岸定線観測データ(A3及びA10点)を用い、発生・分布に関係すると想定される底層水温等を説明変数(6変数)、ヤリイカのCPUEを目的変数として重回帰分析を行った結果、次の有意な(p=0.01474)重回帰式が得られた(図3)。CPUE(kg/haul)=-13.798X1-41.087X2+23.054X3-0.382X4-7.879X5+7.406X6+566.252(X1:A10-75m-Jan.水温; X2:A10-100m-Jul.水温; X3:A10-75m-Jul.水温; X4:A10-0m-Jul.水温; X5:A3-Jul.透明度; X6:前年度12~2月合計漁獲量(一色市場))
成果の活用面・留意点 1.ヤリイカの分布が底層水温に強く規定されることが明らかになり、底層水温をモニタリングすることで、好適漁場水深の推定と漁業者への情報提供が可能となった。2.漁業者が自主的に産卵床を設置し増殖に努める中で、産卵水温を実測し明らかにしたことで、水温条件をモニタリングすることで他の場所への設置海域の拡張や、親イカ分布域保護等の加入管理が可能となった。3.本研究で得られた重回帰式により翌年(2012年)の実測値と推定値を比較したところ、若干の差がみられた。これは2012年の漁獲物サイズが例年より大きかったため実測値が上振れしたためと推定されるが、今後もデータの蓄積とともに予測式の改善が必要である。
図表1 236278-1.jpg
図表2 236278-2.jpg
図表3 236278-3.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4484&YEAR=2013
カテゴリ モニタリング

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる