海水中のDIP濃度低下がノリの生育に与える影響に関する研究

タイトル 海水中のDIP濃度低下がノリの生育に与える影響に関する研究
担当機関 福岡県水産海洋技術センター
研究期間 2009~2011
研究担当者 小池 美紀
渕上 哲
発行年度 2013
要約 海水中のDIP濃度の低下が養殖ノリの生育に与える影響について新たな知見を得ることができた。
背景・ねらい 近年、福岡湾内において海水中のDIP(溶存無機態燐)濃度の低下と共に養殖ノリの色落ちが毎年発生している。海水中のDIP濃度の低下が養殖ノリの生育に与える影響に関する知見はほとんどなく、養殖現場における有効な対策もない。そこでノリの各生長ステージ別にDIPを含まない培養液で一定期間(5~7日間)培養し、その後充分にDIPを含んだ培養液で培養する回復試験を行い殻胞子生残率、葉状体の観察を行った。加えてDIN(溶存無機態窒素)についても同様の手法で培養し、色調の変化を調べた。
成果の内容・特徴 1.殻胞子期では生残率が著しく低下し、葉状体の生長が鈍化して、萎縮や巨大化などの形態が異常な細胞(異形細胞)が出現した(図1)。

2. 幼芽期では異常芽率が高く、殻胞子期同様に葉状体の生長が鈍化し、細胞の萎縮などの異形細胞が確認された。

3. 成葉期では色調が低下し生長が鈍化した。回復試験では色調の回復がみられたが、葉状体が成熟するなどの形態変化や異形細胞が確認された(図2)。

4. DIP濃度の低い条件とDIN濃度の低い条件で培養した結果を比較すると、DIP濃度が低い条件の方がDIN濃度の低い条件よりノリ葉体の色落ちが遅く、培養液のDIPが0.4μM以下になると色落ちの現象が認められた。この濃度は、福岡湾の漁場で色落ちが観察される時のDIP濃度とほぼ同じ値であった(図3)。
成果の活用面・留意点 DIP濃度の低下は、DIN濃度の低下に比べ色落ちは緩やかではあるが、ノリの生育に大きな影響を与えることが判明したことから、漁場の栄養塩観測結果をふまえ、ノリの生育ステージに応じたより適切な指導を行っていく。
図表1 236298-1.jpg
図表2 236298-2.jpg
図表3 236298-3.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4551&YEAR=2013
カテゴリ

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる