ブルキナファソ産リン鉱石は水田への直接施用において高い肥効を示す

タイトル ブルキナファソ産リン鉱石は水田への直接施用において高い肥効を示す
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2009~2013
研究担当者 中村智史
福田モンラウィー
飛田哲
発行年度 2013
要約 ブルキナファソ産リン鉱石は水田への直接施用により、イネ収量を向上する。またリン酸あたり同量施用では化学肥料とほぼ同程度の収量を期待できる。
キーワード リン鉱石、直接施用、稲、アフリカ
背景・ねらい サブサハラ・アフリカ(SSA)稲作では、低土壌肥沃度環境が収量を制限する大きな要因となっており、中でも土壌中リン酸含量の低さが問題として挙げられている。また、一般に化学肥料は高価であるため、化学肥料を代替できる安価なリン酸資源が求められている。一方でSSAにはリン鉱床が多く確認されており、産出するリン鉱石を直接施用することが可能であるが、産出されるリン鉱石の多くは溶解度が低く、一般的に畑作物において直接施用による効果は低いとされている。しかし、水稲作においては土壌環境が畑作とは異なり、リン鉱石直接施用が有用である可能性があり、域内で産出されるリン鉱石直接施用の有効性が確認出来れば、当該地域における安価なリン酸資源として活用できる。そこで、SSA稲作の代表的農業生態系である、サバンナ帯および赤道森林帯の稲作圃場において、ブルキナファソ産リン鉱石(BPR)の直接施用効果を検証する。
成果の内容・特徴
  1. ガーナ国内のサバンナ帯および赤道森林帯の二つの農業生態系において、稲作農家圃場を各2地点設定し、BPRの直接施用効果を評価するための試験を実施する(表1)。
  2. 供試したBPRはKodjari産出の堆積性リン鉱石で、微粉砕されたもの(およそ70メッシュ)である。
  3. BPR施用区では、リン酸施用量に応じて稲収量が増加することから(図1)、BPRの直接施用が稲作において有効である。また、稲植物によるリン吸収量と稲収量との間には正の相関があり(図2)、施用したリン酸が有効に働いたと考えられる。
  4. リン酸として同量施用した化学肥料(重過リン酸石灰 : TSP)区の収量とBPR施用区の収量はほぼ同程度であることから、BPRはTSPを代替できるリン資材であるといえる。
成果の活用面・留意点
  1. ブルキナファソにはリン酸として約1億トンの埋蔵量が推定されており、類似の未利用リン鉱石は周辺各国の埋蔵量を合わせるとリン酸として約6億トンの埋蔵量があるとされている。
  2. BPRは既存研究により、溶解度が低く直接施用には適さないとされていたが、この成果は直接施用によっても活用可能であることを示すものである。
  3. BPRは今のところ調査地であるガーナ国内での流通は認められないものの、ブルキナファソにおいては、リン化学肥料の約1/4の価格で購入出来ることから、サブサハラ・アフリカ稲作における利活用が期待できる。
  4. 稲作におけるBPR直接施用の残効は、地点間の差異が認められる。残効の高い地点では、連続施用の80~116%の収量が得られ、高い残効が期待できる(未発表データ)。
  5. 本成果は2年間の試験による成果であり、気候条件等により効果が変動する可能性がある。
  6. BPR直接施用は、土壌のリン酸吸収係数が非常に高い場合、効果が認められない場合が報告されている(Fukuda. et al. (2013))。
図表1 236340-1.jpg
図表2 236340-2.jpg
図表3 236340-3.jpg
研究内容 http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2013/2013_B03.html
カテゴリ 肥料 水田 水稲 土壌環境

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる