ラオスの農家在来技術である強酸性土壌でのコウモリ糞の植え穴施用の作用

タイトル ラオスの農家在来技術である強酸性土壌でのコウモリ糞の植え穴施用の作用
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2011~2015
研究担当者 松尾和之
阿江教治
Saykham Vorachit
発行年度 2013
要約 ラオスの強酸性水田土壌での水稲跡畑作物栽培ではアルミニウム害が問題となるが、農家在来技術であるコウモリ糞の植え穴施用は、土壌の交換性アルミニウムを低下させて畑作物に対するアルミニウム害を軽減し、初期生育を促進する。また、カルシウムやマグネシウム等の交換性陽イオンや有効態リンなどを富化し、養分溶脱の進んだ土壌の改善に寄与する。
キーワード 天水田、酸性土壌、コウモリ糞、アルミニウム害、養分富化
背景・ねらい ラオスの天水田では養分の溶脱により土壌の酸性化が進みつつあり、中山間地には石灰岩地帯に属するにもかかわらず強い酸性を示し、リン酸肥沃度が極めて低い天水田が存在する。このような水田では、水稲収穫後に播種されたトウモロコシの生育が著しく抑制される現象が見られるが、農家では少量のコウモリ糞を土壌に混ぜ植え穴に客土することで、トウモロコシの生育を改善する例がある。そこで、コウモリ糞の作用を明らかにし、水田土壌の改善につなげる。
成果の内容・特徴
  1. プロジェクトサイトのナームアン村は石灰岩地帯にあるにもかかわらず、調査圃場の9割弱が土壌pH(KCl) 4.0以下を示す。土壌の交換性アルミニウムはpH(KCl)が4.0を下回ると急激に増大するが、ナームアン村ではアルミニウム害の危険性の大きい水田が多く存在する(図1)。
  2. 農家トウモロコシ圃場において客土された植え穴土壌は、畦間に比べ、pH(KCl)、有効態リン及び交換性カルシウムが高く、pH(H2O)と交換性アルミニウムは低い値を示す。同様なpHの変化と交換性アルミニウムの低下は、水田土壌にコウモリ糞を添加し畑条件で培養した場合にも認められ、その効果は牛糞を大きく上回る(図2)。
  3. コウモリ糞添加土壌のアルミニウム型リン画分(観測値)は、コウモリ糞のリン酸構成から推定される値(計算値)を大きく上回り、コウモリ糞中のリン酸イオンと土壌中のアルミニウムイオンとの結合が示唆される(図3)。
  4. 水田土壌に塩化アルミニウムを添加して交換性アルミニウム濃度を高めると、供試作物に共通して濃度に応じた発芽の遅延と初期生育の抑制が生じるが、コウモリ糞を加えることで交換性アルミニウムは低下し、作物の生育抑制は軽減される(図4)。 
成果の活用面・留意点
  1. ナームアン村では隣接する石灰岩山中の洞窟でコウモリ糞の採取が行われており、年間の産出量は20-30 t(リン含有率は約10%)に達し、村内での消費量はその20%程度とされる。十数年後には資源の枯渇が予想されおり、適正な基準に基づいた有効活用が求められている。
  2. ナームアン村水田土壌の有効態リンは、調査圃場の80%が20 mg P kg-1以下(ブレイII法にて測定した結果)と低水準であり、畑作物へのコウモリ糞施用によって水田土壌のリン肥沃度の改善の可能性がある。 
図表1 236347-1.jpg
図表2 236347-2.jpg
図表3 236347-3.jpg
図表4 236347-4.jpg
研究内容 http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2013/2013_C02.html
カテゴリ 水田 水稲 中山間地域 とうもろこし 播種

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