タイトル |
豚の系統造成および維持における近交回避の影響と近交回避プログラム |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 |
2011~2013 |
研究担当者 |
佐藤正寛
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発行年度 |
2013 |
要約 |
豚の系統造成において、近交を回避する交配は、選抜反応を低下させずに近交度の上昇を抑制できる。本研究で開発した次世代の平均近交係数を最小にする交配組み合わせを導くプログラムにより、系統造成および系統維持における交配が容易になる。
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キーワード |
豚、系統造成、系統維持、近交回避、交配法、選抜反応
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背景・ねらい |
わが国における豚の育種手法の1つに系統造成がある。一般に、系統造成は集団のサイズが小さいため、選抜による近交度の急激な上昇が懸念される。しかし、近交を回避した交配は選抜による改良効率を低下させる可能性がある。一方、完成系統は造成時よりも小さな集団で維持されることが多いため、できるだけ血縁の遠い個体同士を交配させ、近交度を抑制する必要がある。そこで、コンピュータシミュレーションによって系統造成および系統維持における近交回避が遺伝的能力に与える影響を明らかにするとともに、系統造成および系統維持において集団全体の近交度を抑制するための交配組み合わせを決定するプログラムを開発・提供する。
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成果の内容・特徴 |
- 近交を回避する(1)全きょうだいを回避した交配、(2)全・半きょうだいを回避した交配、(3)全・半きょうだいおよびいとこを回避した交配のいずれの交配法においても、無作為交配に比べて選抜反応は小さくならない(表1)。
- BLUP法選抜において、全・半きょうだいを回避した交配は、無作為交配に比べて10世代で4.3%近交係数を抑制できる(表2)。
- 全・半きょうだいおよびいとこ同士の交配を回避しても、全・半きょうだいを回避する場合と較べて近交度の抑制効果はみられないことから、近親個体同士の交配を考慮する場合、全・半きょうだい同士の交配を回避すればよい(表2)。
- 1から3の情報に基づき、線形計画法により次世代の平均近交係数を最小にする交配の組み合わせを決定するプログラム(近交回避プログラム)を開発し、そのマニュアルを作成した。近交回避プログラムとマニュアルは、農研機構ホームページより提供している。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:豚系統造成および系統維持を行う公立場所、民間企業等
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:豚系統造成及び系統維持を行っている場所および今後行う予定のある場所(23場所41系統)
- その他:近交回避プログラムおよびそのマニュアルは、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所ホームページの「コンテンツ一覧」→「プログラム」(プログラム名MinCM)よりダウンロードすることができる。プログラムは、雄親と雌親の個体番号およびそれらの血縁係数のファイルを読み込み、線形計画法により算出した最適な交配組み合わせとなる雄親と雌親の個体番号を出力する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2013/13_020.html
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カテゴリ |
育種
豚
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