泌乳牛への中鎖脂肪酸カルシウム給与は乳量には影響しない

タイトル 泌乳牛への中鎖脂肪酸カルシウム給与は乳量には影響しない
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2011~2013
研究担当者 福森理加
櫛引史郎
杉野利久
新宮博行
小林寿美
発行年度 2013
要約 泌乳前期の乳牛に中鎖脂肪酸カルシウム(MCFA)を給与すると、血漿中グレリンおよび成長ホルモン濃度が増加するとともにインスリン濃度は減少するが、乳量増加にはつながらない。この理由は、MCFA による乾物採食量低下による。
キーワード 泌乳牛、中鎖脂肪酸カルシウム、グレリン、乳量
背景・ねらい 中鎖脂肪酸は、長鎖脂肪酸に比べて体内で迅速に代謝されるため、乳牛の周産期用エネルギー供給源として有望であると考えられている。酪農の生産現場では、ルーメンをバイパスする加工を施した中鎖脂肪酸カルシウム(MCFA)が飼料として市販されている。しかし、乳牛へのMCFA給与効果に関する知見は少ない。
本研究では、エネルギーを最も必要とする乳牛の泌乳前期にMCFAを給与して、採食量、乳量、および内分泌機能に対する影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. ホルスタイン種経産牛5頭を用いて、分娩後70日から対照区に3頭とMCFA区に2頭配置する。対照区には、コーンサイレージ主体TMRをTDN充足率100%になるように給与する。MCFA区も対照区と同様にTMR給与量を算出し、その乾物比1.5%をMCFAと置き換えて給与する。対照区ならびにMCFA区での飼料給与は14日間とし、反転する。
  2. 乾物採食量(DMI)はMCFA給与により顕著な低下を示す(表1)。乳中蛋白質、乳糖、および無脂乳固形分の割合もMCFA区で減少する。
  3. MCFA給与により、血漿中のグレリンと成長ホルモン濃度が増加し、インスリン濃度は減少する(表2上)。泌乳関連ホルモンはMCFAにより異化的な反応を示すが、乳量の増加にはつながらない。
  4. MCFA区では血漿中グルコースが低下して、β-ヒドロキシ酪酸(BHBA)濃度が上昇傾向を示すことから、ルーメン発酵への抑制作用が考えられる(表2下)。
成果の活用面・留意点
  1. 乳牛の泌乳前期におけるMCFAの給与効果を代謝・内分泌機能および生産性の両面か ら明らかにした知見であり、周産期におけるMCFAの利用技術ならびにエネルギー供給に関する研究に有益な知見である。
  2. ルーメン内発酵状態およびプロトゾア数への影響は未検討である。
  3. MCFAを構成する脂肪酸のバランスや採食量によって効果が変化する可能性がある。
図表1 236556-1.jpg
図表2 236556-2.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2013/nilgs13_s22.html
カテゴリ 加工 乳牛

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