甘草抽出物のキュウリべと病に対する発病抑制機作

タイトル 甘草抽出物のキュウリべと病に対する発病抑制機作
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2005~2013
研究担当者 宮川久義
大野裕和
発行年度 2013
要約 甘草抽出物に含まれる主要なキュウリべと病抑制物質はグリチルレチン酸、イソリクイリチゲニン、リコカルコンAなどで、べと病菌遊走子の放出阻害などにより発病を抑制する。
キーワード 甘草抽出物、キュウリべと病、発病抑制、グリチルレチン酸、フラボノイド類
背景・ねらい 生薬の原料である甘草(マメ科カンゾウ)から医薬品などの素材になるグリチルリチン酸を抽出する過程で得られる甘草抽出物は、キュウリ、トマトなどの茎葉病害に対する防除効果を示すことが明らかになっている。そこで今回は、キュウリべと病を対象に甘草抽出物の発病抑制機作を解明する。
成果の内容・特徴
  1. 甘草抽出物(以下MZ-1)の主要成分はトリテルペン類(配糖体(表脚注)であるグリチルリチン酸およびそのアグリコン(表1脚注)であるグリチルレチン酸)、フラボノイド類(リクイリチンおよびそのアグリコン、イソリクイリチンおよびそのアグリコン、リコカルコンA)である(表1)。なお、使用した甘草はマメ科のチョウカンゾウ(Glycyrrhiza inflata)である。
  2. MZ-1の希釈液(1,000μg/mL)をキュウリ葉に散布後に、べと病菌分生子(遊走子嚢)懸濁液を噴霧接種すると高い防除効果を示す(図1)。MZ-1希釈液(1,000μg/mL)散布後に、べと病菌の遊走子を噴霧接種しても同等に高い防除効果を示す(結果省略)。
  3. 甘草フラボノイド類は同一濃度では配糖体よりアグリコンの方が発病抑制活性が高く、中でもイソリクイリチゲニン、リコカルコンAの発病抑制効果が高い(図2)。
  4. トリテルペン類もフラボノイド類と同様に配糖体のグリチルリチン酸よりアグリコンのグリチルレチン酸の方が発病抑制効果が高い(結果省略)。
  5. MZ-1の100μg/mL希釈液中では分生子から遊走子の放出が認められない(図3)。また、MZ-1の200μg/mL希釈液中に活動中の遊走子を投入すると、動きを停止し数分後に崩壊する(結果省略)。
  6. しかし、べと病菌分生子の接種6時間後以降にMZ-1希釈液(1,000μg/mL)を噴霧しても、発病抑制効果は認められない(結果省略)。
  7. 以上のことから、MZ-1に含まれるキュウリべと病の主要な発病抑制活性物質はグリチルレチン酸、イソリクイリチゲニン、リコカルコンAなどのアグリコンである。MZ-1に含まれるこれらの物質の個々の機能により防除効果が発揮される。
成果の活用面・留意点
  1. 甘草(マメ科カンゾウ)は、2013年12月現在、特定農薬(特定防除資材)の保留資材の一つになっているが、指定を受けていないため病害防除の効果効能を標榜することはできない。なお、この甘草抽出物は市販されている。
  2. この成果はチョウカンゾウ(G. inflata)の抽出物を用いた結果である。他の甘草(ヨウカンゾウG. glabraなど)では効果が異なる。
図表1 236699-1.jpg
図表2 236699-2.jpg
図表3 236699-3.jpg
図表4 236699-4.jpg
図表5 236699-5.jpg
図表6 236699-6.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/warc/2013/warc13_s13.html
カテゴリ 病害虫 きゅうり 特定農薬 トマト 防除

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