タイトル |
動力伝達系を簡素化した電動の田植機植付部 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター |
研究期間 |
2010~2013 |
研究担当者 |
山田祐一
藤岡修
小西達也
大西明日見
|
発行年度 |
2013 |
要約 |
電気モータと電子制御ユニットからなる分散駆動・分散制御方式により、動力伝達系を簡素化した電動の田植機植付部である。電子制御により株間や横送り回数をきめ細かく設定でき、同一条件での植付精度は従来型田植機と同等である。
|
キーワード |
田植機、電動化、分散駆動、分散制御、車速連動
|
背景・ねらい |
従来の田植機植付部は、各駆動部を機械的に連結する事で動力を伝達すると共に車輪回転と連動してそれらが動作する構造となっている。しかし、その伝達経路上にはクラッチやトルクリミッタ、各種設定変更のための変速機等が存在しており、複雑な構造となっている。 そこで、分散配置が容易な電気モータとその電子制御技術を適用することで、機械的な動力伝達系の大部分を削減した簡易な構造の田植機植付部を開発する。
|
成果の内容・特徴 |
- 開発した電動植付部は6条植えで、植付爪、横送り、縦送りの各駆動部にモータと減速機が配置されており、従来型田植機と比較して動力伝達系が簡素化されている。植付爪(植付け2条分が一体)と横送り駆動部は、それぞれ、駆動用モータおよび同モータを制御するECU(電子制御ユニット)を含めてユニット化している。また、縦送り駆動部は一つのモータ制御ECUが3台のモータを制御する構成である。全ECUはCANバスで接続されており、車速センサと接続されたメインECUから送信される制御信号に基づいて各モータ制御ECUがモータを制御する事により、植付部全体が車速に連動して動作する(図)。
- 各モータは電子的に制御され、株間を無段階、横送り回数を1回単位できめ細かく設定でき、従来の変速機構は不要である。また、植付爪および縦送り駆動部が2条ずつ独立しているため、条止めのクラッチ機構も不要である。
- 植付爪はモータ制御ECUからの制御によって不等速に回転可能であり、疎植時に従来型植付部で必須であった不等速駆動機構を必要としない。
- 植付爪・横送り駆動には同期モータを使用しているため、ブラシ摩耗がなく長寿命である事に加え、回転時であれば電流センサのみで角度制御が可能である。また、停止から微速時についてもホールセンサを併用すれば角度制御が可能なため、ロータリエンコーダ等の高分解能の角度センサは不要である。
- 開発した電動植付部は、多目的田植機に装着する場合、PTO軸を接続する必要がないため、従来の機械式植付部よりも着脱が容易である。
- 開発した電動植付部を装着した田植機を、機械式植付部の従来型田植機と同一条件に設定したときの植付精度は、従来型田植機と同等である(表)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 苗送り量センサと組み合わせることで苗使用量の制御が可能である。
- 横送りは1モータで全条を駆動するが、植付爪と同一のモータとECUを使用して10条まで駆動可能で、様々な植付条数のラインナップに対応できる。
- 同期モータによる車速連動制御は播種機等の作業機にも応用できる。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/brain/2013/brain13_s03.html
|
カテゴリ |
くり
播種
|