タイトル | 真菌症に対応したガザミ種苗生産方法 |
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担当機関 | 山形県水産試験場 |
研究期間 | 2012~2013 |
研究担当者 |
本登 渉 |
発行年度 | 2014 |
要約 | 真菌症の発症しやすい高水温期や、2番仔以降の種苗生産に対応した親ガニの養成も含めた真菌防除対応種苗生産方法を開発し、真菌症を抑えられるようになった。 |
背景・ねらい | ガザミの真菌症は古くから他県では知られていたが、本県では、平成21年度よりガザミの種苗生産試験において、真菌症(ハリフトロス属)が継続して発生するようになり、その後のカニ類の事業が進展しない事態に陥った。また、平成24年度には、天然海域で採捕された抱卵ガザミからも確認され、また、沿岸海域の種苗生産期の水温が以前より上昇しているため、通常飼育においても、1番仔の抱卵でも真菌症が確認されており、本県海域に普通に常在する菌であると考えられた。そこで、1番仔のみでの生産や滅菌等の対策ではなく、真菌の感染要因である遊走子の活動を低減する方法を主として、対策を検討し、有効性を検討した。 |
成果の内容・特徴 | 1.ゾエア幼生の飼育可能塩分濃度は、21.9‰以上という報告がある。 2.真菌症遊走子は塩分濃度20‰以下では活動しないという報告がある。 3.2.より餌料生物であるワムシの培養および2次栄養強化は塩分濃度16~20(約半海水)で行う。 4.2.よりアルテミアは塩分濃度20でふ化させる(アルテミアのふ化最適塩分濃度)。 5.上記1.~4.より、従来のガザミ種苗生産方法に新たに真菌症対策として加えた項目は表1のとおり。 6.表1の方法で、親ガニ抱卵中に真菌症が確認された個体より種苗生産を行ったが(表2)、真菌症は発症しなかった。 |
成果の活用面・留意点 | 1.上記以外は従来どおりの給餌量で行うが、総添加量は従来より半分以下で済むため、給餌のためのワムシ培養量を低減できる。 2.止水期間が長いため、気温からの飼育水の昇温が図られ、同時期の流水による飼育期間より2/3に短縮(7月期:30日→20日)が可能である。 3.止水による飼育水の昇温および生物餌料の節約効果は魚類の種苗生産の応用(水づくり法)が期待できる。 4.ワムシにも真菌は感染する。平成23年には栽培漁業センターのL型ワムシ株の感染を確認している。 |
図表1 | |
図表2 | |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4765&YEAR=2014 |
カテゴリ | 病害虫 防除 |