タイトル | タイラギ稚貝の大量生産に成功 |
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担当機関 | (独)水産総合研究センター 瀬戸内海区水産研究所 |
研究期間 | 2011~2015 |
研究担当者 |
兼松正衛 伊藤篤 小島大輔 |
発行年度 | 2014 |
要約 | 平成23年度からタイラギの種苗生産の取り組みを開始した。平成25年7月に産卵した親貝(有鱗型)から多数の浮遊幼生が得られ、3ヶ月近くの浮遊生活期を経て、約7万個体が着底・変態し、初期稚貝となった。この生産個数は、過去の事例を大きく上回るもので、今回の成功の背景として、産卵前の親貝を十分に成熟させることが出来たこと、浮遊幼生の生残率を高める工夫をしたことが重要であると考えられた。 |
背景・ねらい | 内湾の砂泥域に生息する大型の二枚貝であるタイラギは、大きな貝柱が食用として重用されている高級食材として知られている。1990年代までの主要な産地であった有明海などで潜水法による漁業が行われてきたが、近年はほとんど漁獲されなくなり、休漁を余儀なくされるなどの深刻な事態となっている。 タイラギの資源量が減少した要因の解明と、その対策に関する調査研究が行われてきたが、未だ有効な対策は見つかっていない。そのため、天然資源に依存しない養殖技術への期待が高まり、養殖技術の実用化に向けて、稚貝を安定的に供給するための技術開発が最大の課題となっていた。 |
成果の内容・特徴 | 1.親貝の入手: 2013/1/22~6/11の期間に、香川県高松市東部漁協と大分県漁協蒲江支店より有鱗型(ケンタイラギ)833個、無鱗型(ズベタイラギおよび不明種)140個を入手した。そのうち105個のケンタイラギを、5/16~7/12の57日間、瀬水研屋島庁舎の海面筏(香川県屋島湾:水深3m)より籠垂下飼育し、残りを百島庁舎の実験池および陸上水槽で成熟養成した。 2.採卵結果: 採卵方法について、人工切開法、産卵促進法および自然産卵法について検討した結果、2013/6/5~7/31までの56日間にケンタイラギ:4億7,655万粒、ズベタイラギ:3,573万粒を採卵し、自然産卵が4億850万粒と最も多かった(表1)。また、ケンタイラギでは、屋島庁舎での筏垂下群(親割合12.6%)が3億7,780万粒を産卵し、有鱗型からの総採卵量の92.5%を占めた。 3.飼育試験結果: 2013/6/14~10/4の112日間に500L水槽延べ20面および1kL水槽2面を用いて7回の飼育試験を実施した(表2)。その結果、水中ポンプで飼育水を撹拌しながらシャワー海水をタイマー間歇散布する従来の飼育方法(長崎方式)を改良したAとBの2方法で、着底稚貝71,507個(有鱗型71,402個、無鱗型105個)を生産した(図1、2)。 |
成果の活用面・留意点 | 人工種苗の安定的な大量生産技術が開発されることにより、増養殖への取り組みが活性化出来る。幼生の質や適正な飼育環境の解明が必要であり、改良飼育装置による稚貝生産の再現性を検証することが重要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
図表6 | ![]() |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4877&YEAR=2014 |
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