タイトル | 陸域からの栄養塩供給がノリ養殖に与える影響 |
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担当機関 | 兵庫県立農林水産技術総合センター |
研究期間 | 2010~2014 |
研究担当者 |
原田和弘 宮原一隆 二羽恭介 阿保勝之 川崎周作 中谷明泰 |
発行年度 | 2014 |
要約 | 海域の貧栄養化に伴うノリの色落ちが深刻化している兵庫県瀬戸内海側の加古川河口域を対象に、陸域からの栄養塩供給(河川水、下水処理水および産業排水等)が、近隣のノリ養殖漁場に与える影響を現場観測およびモデルシミュレーションから明らかにしました。さらに、同海域で栄養塩供給対策として冬季に試行している下水処理施設の栄養塩管理運転による海域への栄養塩供給状況も調査、解析しました。 |
背景・ねらい | 兵庫県は有明海と並ぶ国内有数のノリ生産地ですが、1990年代後半以降、養殖ノリの生産不振が頻発するようになっています(図1)。生産不振の主な要因は、溶存態無機窒素(DIN)の不足による色落ちとされています。水質汚濁防止に関する法整備や社会的な協力によって、かつての富栄養な状況から瀬戸内海の水質は改善してきており、現在の播磨灘等の海域では逆に貧栄養化しているような状況にあります。水産業界では海域の生産性を維持するため、新たな水質管理施策の一つとして、適切な栄養塩の管理を求めています。本研究では、栄養塩の多寡が直接生産に関わるノリ養殖と陸域からの栄養塩供給との関係について調査、解析しました。 |
成果の内容・特徴 | ・加古川河口域の現場観測から、同海域では河川水とともに下水処理水および産業排水(ともに泊川水路(東播磨港別府西港区)を通じて海域に流出)が重要な窒素供給源となっていることが判明し、特に加古川河口左岸沿岸にDINの高濃度域が分布することを明らかにしました(図2)。 ・同海域の栄養塩動態に関するモデルシミュレーションにおいて、現場観測と同様に河川水、下水処理水および産業排水が重要な窒素供給源である計算結果を得るとともに、下水処理施設の栄養塩管理運転による周辺海域への栄養塩供給効果についても明らかにしました(図3)。 ・近隣のノリ養殖漁場内の沿岸部(加古川河口左岸沿岸)と沖合部において、DIN濃度とノリの色調を調査した結果、沿岸部ではDIN濃度が高く、ノリの品質も良い(色が濃い)ことが判明し、陸域から供給された窒素が有効に作用していることがわかりました(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | ・陸域負荷のノリ養殖漁場への影響を明らかにすることによって、漁業生産面から見た水質管理施策への提案材料とします。 ・播磨灘北部における栄養塩管理手法の一例として、下水処理施設の栄養塩管理運転によるノリ漁場への栄養塩供給状況を調査、検証した結果を今後の栄養塩管理の検討材料として役立てます。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4753&YEAR=2014 |
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