有明海湾奥部に流入する早津江川および六角川におけるエツ仔稚魚の分布

タイトル 有明海湾奥部に流入する早津江川および六角川におけるエツ仔稚魚の分布
担当機関 佐賀県有明水産振興センター
研究期間 2012
研究担当者 伊藤 毅史
発行年度 2014
要約 エツは、日本では有明海にのみ生息する特産魚であるものの、筑後川以外での調査はほとんどない。このため、有明海湾奥部に流入する六角川と筑後川水系の早津江川において、仔稚魚分布調査を2012年4、8、11月に行った。その結果、六角川で多数のエツ仔稚魚が採集されたこと、さらに、本種の授精卵も淡水域で採集されたことから、エツは六角川においても再生産を行っていることが示唆された。
背景・ねらい エツは、日本では有明海にのみ生息する特産魚で、産卵期は5~8月、産卵は筑後川においては河口から約20km上流部の淡水域で行うとされている。筑後川では5~7月にかけて、産卵のために河川を遡上するエツが流し刺網により漁獲されている。また、海域では潮待ち網の一種であるあんこう網や投網等によっても漁獲されている。佐賀県の流し刺網漁船によるエツの漁獲量は、1992~2003年には32~45トンあったものの、2008年以降2トン前後で推移しており、厳しい状況となっている。このように、エツの漁獲量が減少するなか、資源の回復に向けて必要なエツの生物特性や産卵環境などに関する知見の蓄積が課題となっている。このため、有明海湾奥部に流入する六角川と早津江川において、仔稚魚分布調査を高知大学と共同で2012年4、8、11月に行った。
成果の内容・特徴 (1)調査方法

エツ仔稚魚の分布調査には、主に浮遊仔魚を対象とした稚魚網(口径1.3m, 網目1mm)の傾斜曳きと底生稚魚を対象とした桁網(幅1.5m, 高さ0.25m, 網目1mm)を用いた。密度は稚魚網では濾水量と最大水深によって、桁網ではGPSによって算出した曳網距離からそれぞれ求めた。全採集定点において表層から底層までの水温(℃)、塩分(psu)、濁度(NTU)をCompact-CTDによって、0.5m間隔で測定した。

(2)六角川、早津江川における仔稚魚の分布

エツ仔稚魚の密度は、両河川ともに8月に最も高く、六角川では100m2あたり約1万尾と高密度に分布していることが確認された。また、両河川ともに8月には浮遊仔魚が河口から約15km上流までの河川域に分布していること、底生稚魚になると上流から河口域にかけて広く分散することが確認された(図1,2)。エツ仔稚魚は低塩分かつ高濁度の水域に多く分布していた(図3)。

本調査において、六角川で多数の仔稚魚が採集されたこと、さらに、本種の受精卵も淡水域で採集されたことから、本種は六角川においても再生産を行っていることが示唆された。
成果の活用面・留意点 エツ資源の回復に向けて資源管理基準を策定する際の基礎的なデータとなり得る。
図表1 236843-1.jpg
図表2 236843-2.jpg
図表3 236843-3.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4775&YEAR=2014
カテゴリ GPS

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