タイトル | 底質試料を対象としたヘキサン抽出蛍光光度法の開発 |
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担当機関 | 宮城県水産技術総合センター |
研究期間 | 2013~2013 |
研究担当者 |
石川哲郎 日下啓作 桑原隆治 田中博之 河野久美子 大久保信幸 羽野健志 隠塚俊満 伊藤克敏 |
発行年度 | 2014 |
要約 | 底質試料を対象としたヘキサン抽出蛍光光度法の分析手法の開発を行った。複数の分析条件を検討し、ヘキサン抽出蛍光光度法の分析フローを作成した。ヘキサン抽出蛍光光度法とGC/MS法の分析値を比較したところ、両分析値の関係は直線で表され、ヘキサン抽出蛍光光度法の分析値からGC/MS法の分析値を予測できる事が示唆された。 |
背景・ねらい | 震災後の気仙沼湾の底質から、津波により流出した鉱物油および海上火災由来と思われる多環芳香族炭化水素(PAHs)が検出されている。公定法のPAHs分析法であるGC/MS法は、複雑な分析工程が必要で分析単価が高いという欠点がある。そこで、本研究では、GC/MS法より簡便で安価な分析手法である、ヘキサン抽出蛍光光度法の底質試料への有効性を評価することを目的とした。 |
成果の内容・特徴 | 公定法の底質PAHs前処理法の分析フローを元に、適切な試薬量の検討、アルカリ分解工程の省略の可否、無水硫酸マグネシウムを用いた抽出の適用の可否について検討し、分析フローの簡略化を試みた。3パターンの試薬量(元の分析フローの0.5、1、1.5倍)で分析を行ったところ、1倍の試薬量で十分に抽出されていると判断された。アルカリ分解工程を省略して分析したところ、分析値は81.3 μg/gであり、別途測定した試料中のクリセン含有量(99.9 μg/g)とほぼ一致したことから、アルカリ分解工程は省略可能と判断した。無水硫酸マグネシウムを用いた抽出による分析を行ったところ、添加クリセン量を差し引いた分析値は102.9 μg/gとなり、試料中のクリセン含有量(99.9 μg/g)とほぼ同じであったことから、無水硫酸マグネシウムによる抽出は適用可能であると判断した。以上から、分析フローは図1の通り簡略化された。分析単価を大幅に削減することが出来るとともに(蛍光光度法:17,000円、GC/MS法:65,000円)、時間のかかるアルカリ分解工程(室温で15時間放置)を省略することで、分析時間の短縮も可能となった。同一サンプルをヘキサン抽出蛍光光度法とGC/MS法で測定し、分析値を比較した。両分析値の関係は直線で表され、ヘキサン抽出蛍光光度法の分析値からGC/MS法の分析値を予測できる事が示唆された(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | PAHsモニタリングをヘキサン抽出蛍光光度法で行うことにより費用及び時間の大幅な削減が見込まれる。ヘキサン抽出蛍光光度法とGC/MS法の分析値の関係については、さらにデータを増やして検討する必要があると考えられる。また、新たな海域へ適用する際には海域ごとにGC/MSによる測定結果との比較検討が必要である。 |
図表1 | |
図表2 | |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4902&YEAR=2014 |
カテゴリ | くり モニタリング |