根におけるケイ素吸収・輸送モデルの開発とイネがケイ素を多く吸収できるメカニズムの解明

タイトル 根におけるケイ素吸収・輸送モデルの開発とイネがケイ素を多く吸収できるメカニズムの解明
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究期間
研究担当者 櫻井玄
佐竹暁子
山地直樹
横沢正幸
FEUGIER Francois Gabriel
三谷奈見季
馬建鋒
発行年度 2014
要約 イネにおいて重要なミネラルであるケイ素が根から吸収・輸送される過程を計算するモデルを開発しました。イネ特有の二重のカスパリー線構造が、ケイ素の輸送体の働きを促進していることが分かりました。
背景・ねらい 植物において土壌からのミネラル吸収は生長に必須であり、より精度の高い作物生長モデルを構築するためには、その詳細な数理モデル化が望まれています。近年、分子生物学的な研究の進展により、植物体内におけるミネラルの輸送体の働きが明らかになりつつあります。そこで、本研究では病害や倒伏を防ぐ上で重要な役割を果たすケイ素の輸送体に関する分子生物学的な知見の進歩をもとに、イネの根における吸収過程の数理モデルを開発し、イネの高いケイ素吸収・輸送能力を解析しました。
成果の内容・特徴 イネの根には Lsi1 と Lsi2 というケイ素輸送体が存在していることが分かっています。また、それらはカスパリー線(植物の根に、一重または二重に存在する帯状の構造で植物体への物質の侵入をブロックする役割を持つ)の細胞にしか存在しておらず、極性を持って存在していることが近年の研究で分かっています(図1)。本研究では、これらの分子生物学的な知見をもとに数理モデルを作成しました。このモデルでは、根から吸収されたケイ素は、根を拡散しつつ、細胞壁に存在するケイ素輸送体によって、根の中央部の導管まで運ばれます(図2)。

 このモデルを用いて、なぜイネでは高いケイ素吸収が実現されているのかを解析しました。他の植物と異なりイネではカスパリー線が内皮と外皮の両方に存在しているため、内皮と外皮の間に輸送されたケイ素の濃度を高く保つことができ、ケイ素の輸送能力が大きく増大していると推定されました(図3)。この発見は、カスパリー線の役割の新しい側面を示唆するものです。今後は他のミネラル吸収モデルを開発することにより、精度の高い作物生長モデルの構築が期待されます。

本研究は、JSPS科研費 (25119723) による成果です。
図表1 236890-1.jpg
図表2 236890-2.jpg
図表3 236890-3.jpg
研究内容 http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/result/result31/result31_28.html
カテゴリ 輸送

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