タイトル | モンスーンアジアの農地蒸発散量とCO2 交換量の監視・公開システム |
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担当機関 | (独)農業環境技術研究所 |
研究期間 | |
研究担当者 |
金 元植 |
発行年度 | 2014 |
要約 | モンスーンアジアのさまざまな農地で計測した気象データをオンラインで収集し、渦相関法に基づいて算定した蒸発散量とCO2交換量に精度情報を付加して監視に利用するとともに、リアルタイムでデータを公開するシステムを開発しました。 |
背景・ねらい | 近年のデータ通信技術の発達やコンピュータ性能の向上により、遠隔地で計測した多量のデータをインターネットを通じて収集し、渦相関法(蒸発散量とCO2交換量の計測手法の一つ)の煩雑な演算を迅速に行うことが可能となりました。この技術をモンスーンアジアの農地観測ネットワークに適用し、多地点の蒸発散量とCO2交換量の同時監視および観測データの即時公開による利便性の向上と用途の拡大を目指しました。 |
成果の内容・特徴 | 「農地の水消費とCO2 吸収のオンライン監視用ソフトウェア(平成21年度主要成果)」を、モンスーンアジアに点在する水田、畑地、牧草地、樹園地などの農地観測点(一部に樹林地を含む)に適用し、(1) 各観測点で高頻度(10ヘルツ)で計測した多量の気象データの迅速な収集、(2) 渦相関法に基づく演算による蒸発散量・CO2 交換量の算定と精度情報解析、(3) 関連情報とともにインターネットで公開、という一連の過程を全て自動的に行うシステムを開発しました(図1)。本システムの特徴は、1) コンピュータによる処理やデータの格納を、ネットワーク経由で利用できるクラウドコンピューティングシステムを基盤として行っていること、2) 蒸発散量と CO2 交換量の精度に関する情報(相対誤差)を公表し、地点間の比較を容易にしていること、3) 多点データの収集、演算・解析、公開の一連の過程を自動的にかつリアルタイムで行っていることです。本システムを利用することにより、ネットワーク観測におけるデータの収集から公開までに要する労力と時間の大幅な削減が実現し、遠隔地のさまざまな農地観測点の蒸発散量と CO2 交換量をオンラインで監視したり、気候、作物、作期の異なる複数の農地の蒸発散量や CO2 交換量をリアルタイムで比較することが可能となりました。 本システムは、蒸発散量と CO2 交換量の広域評価と予報への活用が期待されます。すでに、タイのチャオプラヤ川流域の自然水災害(洪水や旱魃)防止を目的とした「水分野の適応策立案実施支援システム」において、流域蒸発散量の予報や数値モデルの検証に、本システムが活用されています。 本研究は、科学技術振興機構と国際協力機構の地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム「水分野の適応策立案実施支援システム構築」および環境省地球環境保全試験研究費「センサーネットワーク化と自動解析化による陸域生態系の炭素循環変動把握の精緻化に関する研究」による成果です。 |
図表1 | |
研究内容 | http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/result/result31/result31_50.html |
カテゴリ | 水田 炭素循環 |