中国のトウモロコシ単収に与える投入財価格・量及び環境影響の要因分解

タイトル 中国のトウモロコシ単収に与える投入財価格・量及び環境影響の要因分解
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2013~2015
研究担当者 草野栄一
銭小平
陳永福
小山修
発行年度 2014
要約 中国のトウモロコシ単収変化に与える投入財価格・量及び環境条件の影響の大きさを、要因分解法と要素需要関数、作物応答モデルを用いて推計する。推計の結果、播種密度低下やカリウム肥料増加の、単収増加への寄与度が大きい。また、播種密度の低下には種子価格の上昇が、化学肥料投入量の増加には資本・家畜費上昇が大きく影響する。
キーワード 中国、トウモロコシ単収、要素需要関数、作物応答モデル
背景・ねらい 世界第二位のトウモロコシ生産国である中国では、単収の増加が生産量増加の有望な手段と考えられている。近年、土壌診断に基づく肥料の適正利用が進められると共に、播種密度の傾向的な低下が見られるが、単収が肥料成分や播種密度、これらを規定する投入財価格等の経済要因からどのような影響を受けているかの包括的な理解は容易ではない。そこで、2004~2012年のマクロレベルのトウモロコシ単収変化に与える投入財価格・量及び環境条件の影響の大きさを、要因分解法と要素需要関数、作物応答モデルを用いて推計し、単収変化の要因を整理する。
成果の内容・特徴
  1. 要因分解法により、全国のトウモロコシの、2004~2012年の年当たり単収変化率1.8%は、播種密度低下の影響(-3.4%)と種子当たり生産量増加の影響(5.2%)に分解できる(図1)。
  2. 経済要因の影響評価のための要素需要関数分析によると、種子価格上昇の種子投入量への寄与度は-3.8%で播種密度を大きく引き下げるが、地代上昇の作付面積への寄与度は-1.8%と相対的に小さい。また、肥料投入量の資本・家畜費上昇への寄与度は2.78%と大きい(図1)。
  3. 播種密度と化学肥料投入量は、トウモロコシ主産地域である華北平原・東北地域では地代の影響を、南部の省では農機などの資本や家畜費用の影響を強く受ける(図2)。
  4. 作物応答モデル分析によると、カリウム肥料の増加は、窒素やリン酸に比べて、種子当たり生産量の増加に大きく寄与する。播種密度低下の単収への直接的な寄与度(-3.4%)と、種子生産性への寄与度(4.1%)を合計すると正の値となり、単収増加との関連が示唆される(図1)。
  5. カリウムの種子生産量への寄与度は、トウモロコシ主産地域で相対的に大きい。播種密度の低下は、播種密度が高い地域では単収増加に寄与するものの、播種密度が低いいくつかの地域では単収減少に寄与している(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 投入財価格・量及び環境要因が単収に与える影響を個別に把握することができるため、マクロレベルの政策効果の議論に活用できる。
  2. マクロレベルの食料需給研究において考慮されることが少ない、単収と経済要因や投入財と関係を分析する際に活用できる。
  3. 播種密度と種子生産性の関係についての解釈には注意を要する。播種密度の低下は、高収量品種の普及や、それを可能にする生産条件の改善から大きな影響を受けると考えられ、これらの関係についてはさらなる検証が必要である。
  4. 土壌養分の収支は考慮されていないため、解釈には注意を要する。
図表1 236920-1.jpg
図表2 236920-2.jpg
図表3 236920-3.jpg
図表4 236920-4.jpg
研究内容 http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2014/2014_C03.html
カテゴリ 肥料 高収量品種 とうもろこし 土壌診断 播種

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