マレーシア半島地区における林業種苗配布区域の設定手法

タイトル マレーシア半島地区における林業種苗配布区域の設定手法
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2011~2015
研究担当者 谷 尚樹
Norwati Muhammad
Lee Soon Leong
Ng Chin Hong
Tnah Lee Hong
Kevin Kit Siong Ng
Lee Chai Ting
Nurul Farhanah Zakaria
津村義彦
発行年度 2014
要約 東南アジア熱帯雨林において林業用種苗の地域間移動に制限が設けられていない。そこで、マレー半島に分布する林業樹種の遺伝的変異のパターンを明らかにし、科学的根拠に基づいた地域間の遺伝的な違いを考慮した林業種苗配布区域を設定する手法を提示する。
キーワード マレーシア半島地区、有用林業樹種、遺伝的変異、地域適応、種苗配布区域
背景・ねらい 数年に一度、不定期に一斉開花が生じる東南アジアの湿潤熱帯地域では、一斉開花の起こった地域で大量に種苗が生産される。そのため、通例、開花規模が小さいか開花しなかった地域へ種苗輸送が行われる。しかし、環境の異なる地域間の移動は植栽した種苗の定着や成長に影響を与え、生産性を低下させる恐れがあると共に、地域環境に適応した遺伝変異を攪乱する。そこで、マレーシア半島地区の林業樹種の遺伝的変異データを例示し、地域間で検出した遺伝的な違いに基づいて林業種苗配布区域を設定する必要性を現地研究機関と行政機関に示すと共に、現地研究機関に林業種苗配布区の設定手法を普及する。
成果の内容・特徴
  1. 林業種苗の地域間移動を制限する種苗配布区域を設定する手法を紹介しており、現地研究機関が独自に他の重要な林業樹種について本手法を活用できる(図1)。
  2. マレーシア半島地区において主要な林業樹種である異なるフタバガキ科樹種の地域間の遺伝的な違いから、樹種毎に種苗配布区域を設定することの重要性を示している(図2;文献2, 5)。
  3. 種苗配布区域の必要性を利害関係者が理解し易い構成内容のパンフレットにしている(表1)。そこではマレーシア国内での研究結果を紹介すると共に、先進国で既に設定された種苗配布区域の実例を織り交ぜ重要性が理解されるよう工夫されている。
成果の活用面・留意点
  1. 移動した種苗の環境への不適合がある場合、配布区域の設定によって未然に環境への不適合を防止できる。また、移動された地域に生育する同種への遺伝的な撹乱を防ぐことができる。
  2. カウンターパート機関では本手法を活用し今後種数を増やす予定であり、既に遺伝マーカーの開発に着手している(文献1, 3, 4)。また、行政機関に配布区域を提案する計画を持っている。
  3. 遺伝的多様性の地理的構造は空間内を連続的に変化する。よって州境などを区域の境界に指定するのは利便性の為である。今後、利害関係者間での調整が必要であるため、本例では大まかな領域しか明示していない。
  4. 地域適応を観察するためには、異なる地域への移植試験による長期モニタリングを行うか、多数の遺伝子を網羅的に解析し、自然選択に対して非中立な遺伝子座を検出する必要がある。これらの手法は時間及びコストを膨大に費やすため、本成果では中立的な遺伝マーカーを利用している。
  5. 自然選択に中立的な遺伝マーカーを用いているので、地域適応を反映していない場合がある。地域適応に関わる遺伝的変異データが得られた場合には、種苗配布区域を改善する必要がある。
図表1 236924-1.jpg
図表2 236924-2.jpg
図表3 236924-3.jpg
図表4 236924-4.jpg
図表5 236924-5.jpg
研究内容 http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2014/2014_C07.html
カテゴリ コスト モニタリング 輸送

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