マレーシアにおけるハイガイ養殖の生産阻害要因

タイトル マレーシアにおけるハイガイ養殖の生産阻害要因
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2011~2015
研究担当者 圦本達也
Faizul Mohd Kassim
伏屋玲子
Alias Bin Man
発行年度 2014
要約 近年マレーシア半島西岸のハイガイ漁場で顕在化している、稚貝発生量の減少および養殖過程での大量死の要因を把握する。稚貝発生量減少は、過度の有機物負荷に伴う還元的環境が貝の性成熟不良を招いたことが原因であると考えられる。一方、大量死は、大量出水に伴う環境変化が貝の摂餌不良・栄養吸収阻害を引き起こしたことによる衰弱が主因であると判断される。
キーワード ハイガイ、マレーシア、生産阻害要因、沿岸環境、二枚貝養殖
背景・ねらい ハイガイAnadara garanosaは東南アジア諸国の各地沿岸で養殖される重要種である。ハイガイの生息に好適な泥干潟が広がるマレーシア半島西岸は、本種の地蒔き養殖の中心漁場であり、天然に大量発生する本種稚貝は養殖用種貝として周辺国にも輸出されている。近年、この西岸の漁場ではハイガイ稚貝の発生量の減少、養殖過程での大量死が顕在化している。このため、ハイガイ養殖の安定生産の実現には、その原因究明と対策が重要な課題である。本研究では、ハイガイ養殖漁場における生産阻害要因を明らかにし、今後の対策を考察する。
成果の内容・特徴
  1. ハイガイ養殖漁場の3定点で行った定期調査により、1つの定点で採集されるハイガイに性成熟不良が認められる(図1)。また、環境調査から同定点の底質は著しく還元化しており(図2)、周辺から供給される有機物負荷がハイガイの性成熟不良の一因になっているものと判断される。
  2. 2012年2月中旬に発生したハイガイの大量死事例(河口域周辺で死亡率30%以上)の解析から、ハイガイは産卵期にあり、消化管の状態から摂餌不良(図3)を来し、消化盲嚢上皮の状態から栄養吸収に障害が生じたものと推察される(図4)。また、気象解析から大量死発生時は30㎜/日以上の降水が週に4日間も集中しており、周辺河川からの淡水および懸濁物の流入に伴う環境変化が、産卵期で環境耐性が低下するハイガイを摂餌不良および栄養吸収障害に陥れ、衰弱死に導いた可能性が示唆される。
成果の活用面・留意点
  1. ハイガイ養殖の安定化にはハイガイ稚貝の安定確保と養殖過程の死亡を抑えることが重要である。今後、ハイガイ養殖の漁業管理の一環として、漁場周辺に流入する河川流域の水質管理と漁場の底質管理を進め、ハイガイ養殖の安定化を図り、生産性向上に繋げる必要がある。
  2. ハイガイの養殖漁場周辺の河川流域管理および底質管理の実現には、マレーシア政府による行政主導の沿岸環境管理と、漁業者らが自主的に進める漁業管理が不可欠である。今後、これらの体制づくりをマレーシア水産局に提案し、実現を目指す。
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図表4 236926-4.jpg
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図表6 236926-6.jpg
研究内容 http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2014/2014_C09.html
カテゴリ 輸出

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