タイトル |
遺伝子診断法によるチャノキイロアザミウマC系統の判別 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 |
研究期間 |
2009~2014 |
研究担当者 |
土`田聡
広瀬拓也
垣内加奈子
兒玉博聖
貴島圭介
望月雅俊
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発行年度 |
2014 |
要約 |
果樹、チャに加え、トウガラシ類を加害し、国内での分布を拡大しているチャノキイロアザミウマC系統は、南方由来の侵入系統と推定される。C系統は、リボゾームDNAのITS2領域のマルチプレックスPCR法により、日本在来のYT系統と判別が可能である。
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キーワード |
チャノキイロアザミウマ、C系統、ITS2、マルチプレックスPCR
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背景・ねらい |
チャノキイロアザミウマScirtothrips dorsalisは果樹、チャの重要害虫であるが、近年国内において、トウガラシ類に対しても寄生性を示す、従来とは異なる系統の発生が確認された。本系統は海外からの侵入系統と推測され、発生生態や殺虫剤感受性の違いから、防除体系に大きな影響を及ぼす可能性があり、分布拡大による農業被害の増大が懸念されている。本系統の由来および特性を明らかにし、防除対策を立てるためには、まず正確に識別する必要があるが、在来系統との間に明確な形態的差異はない。したがって、遺伝子レベルの多型解析とそれに基づく遺伝子診断法による精度の高い判別技術の開発が必要とされる。
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成果の内容・特徴 |
- ミトコンドリアCOI遺伝子の塩基配列に基づく分子系統解析結果は、新規系統(C系統と命名)が在来系統(YT系統と命名)とは遺伝的に大きく異なり、海外(タイ、台湾、インド)の系統に近縁であることを示唆している(図1)。
- 日本国内で確認されているC系統のCOIハプロタイプは8種類(SdC01~08)であり、うち2タイプ(SdC05およびSdC06)は海外のハプロタイプと共通である(図1)。
- リボゾームDNAのITS2領域のマルチプレックスPCRにより、両系統は判別可能である。プライマーとして、両系統に共通の2プライマー(ThripsITSF (5 ́-TGTGAACTGCA- GGACACATGAA-3 ́)およびThripsITSR(5 ́-GGTAATCTCACCTGAACTGAGGTC-3 ́))に加え、C系統特異的なSdITSF3(5 ́-ATTTCGATAAACGCGGCGCCGCGGA-3 ́)、YT系統特異的なSdITSF7(5 ́-CGGAAAGCTAACCGAGTGGGTTTAA-3 ́)の合計4種類を用いる。
- 図2に示すとおり、YT系統では約295bpのバンドが1本、C系統では約190bpのバンドが1本検出され、両系統のDNAを混合した仮想F1雑種のDNAからは両バンドが検出される。
- 本手法により、九州、四国、関東の11県でC系統の分布を確認している。また、野外採集虫においてF1雑種と思われるバンドパターンは検出されておらず、両系統は生殖的に隔離している可能性が示唆される。
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成果の活用面・留意点 |
- 農作物に加え、野外の木本植物および雑草に寄生する個体を系統判別することにより、C系統の増殖源となるリスクの高い植物を明らかにすることができる。
- 粘着トラップで捕殺された個体の識別に本法を活用することにより、ほ場内外におけるC系統の発生動態を明らかにでき、防除時期の決定や薬剤の選定など、C系統の効果的な防除に役立てることができる。
- 使用するDNAポリメラーゼにより、両系統ともに系統特異的なバンドに加え、約530bpの共通のバンドが増幅される場合がある。ただし、系統判別に支障はない。
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図表1 |
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図表2 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2014/fruit14_s17.html
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カテゴリ |
病害虫
害虫
雑草
とうがらし
防除
薬剤
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