ゲノミック選抜法の性能を検証するための基礎集団構造の作成条件

タイトル ゲノミック選抜法の性能を検証するための基礎集団構造の作成条件
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2013~2014
研究担当者 西尾元秀
佐藤正寛
発行年度 2014
要約 シミュレーションによって発生させた基礎集団のゲノム構造において、1塩基多型のアリル頻度の分布が平衡に達していなくても、連鎖不平衡係数が平衡に達していれば、ゲノム情報に基づいた遺伝的能力評価法の性能を検証できる。
キーワード ゲノミック選抜法、SNPマーカー、アリル頻度、連鎖不平衡係数、推定育種価
背景・ねらい 牛および豚などの家畜においては、数万以上の大規模な1塩基多型(SNP)マーカーが開発されている。現在、このような大量のマーカーを利用して、家畜の遺伝的能力をゲノミック推定育種価(GEBV)として評価するゲノミック選抜法の研究が盛んに行われている。これらの研究の多くは、コンピューターシミュレーションによって基礎集団を発生させ、その後の数世代のデータを用いてGEBVの精度を検証している。しかし、基礎集団のデータ発生において条件設定の明確な基準がないため、先行研究で得られたGEBVの精度の違いは、推定法だけではなく、データ発生の条件設定に起因している可能性がある。そこで本研究では、基礎集団のゲノム構造に影響を及ぼすパラメーターについて検討するとともに、作成した基礎集団のゲノム構造とその後のデータから得られるGEBVの精度との関連について検討する。
成果の内容・特徴
  1. シミュレーションの祖先集団における初期世代のSNPのマイナーアリル頻度、突然変異率、集団の有効な大きさ、利用するマーカー数および染色体長を変化させたシナリオ1から6を設定する(表1)。
  2. 各シナリオにおいて500、2,000、5,000および20,000世代にわたって無作為選抜および無作為交配を繰り返して基礎集団を作成する。基礎集団におけるアリル頻度の分布および連鎖不平衡係数をゲノム構造とし、GEBVと真値との相関係数であるGEBVの精度への影響を推定する。
  3. 祖先集団の世代数が20,000あればアリル頻度の分布は左右対称となり、平衡状態となる(図1)。一方、連鎖不平衡係数は祖先集団の世代数が2,000のとき平衡状態に達する(図2)。
  4. ここで作成した基礎集団を用いたGEBVの精度はおおむね連鎖不平衡係数の値を反映し(図3)、祖先集団の世代数が2,000のとき平衡状態となり、ゲノミック選抜法の性能を検証できる。
成果の活用面・留意点
  1. GEBVの精度の検証用のゲノムデータを作成するにあたって、必要最小限の祖先集団の世代数を設定できるため、コンピューターの演算負荷を低減することが可能となる。
  2. 基礎集団の連鎖不平衡係数が平衡状態に達するために必要な世代数はパラメーターの設定条件に依存する。
  3. 染色体長を縮小したゲノムデータを用いる場合、GEBVの精度は過大評価される。
図表1 237095-1.jpg
図表2 237095-2.jpg
図表3 237095-3.jpg
図表4 237095-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2014/nilgs14_s07.html
カテゴリ 育種 評価法

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