タイトル |
防風ネットを利用した畜舎汚水浄化施設からの微生物飛散抑制法 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 |
2011~2014 |
研究担当者 |
田中康男
山下恭広
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発行年度 |
2014 |
要約 |
目合い1mm、高さ2mのポリエチレン製ラッセル織防風ネットを畜舎汚水浄化用曝気槽の周囲に設置すると汚水飛沫と微生物の飛散を抑制できる。ネットを長さ5mごとに面ファスナーで係合して設置すれば、強風時には分離し、破損が防がれる。
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キーワード |
防疫、飛沫飛散、汚水浄化施設、防風ネット、強風対策
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背景・ねらい |
養豚農家では曝気槽を備えた活性汚泥方式汚水浄化施設が標準的に利用されているが、これらの曝気槽には上部開放の事例も多い。口蹄疫ウイルス等の有害微生物が汚水に混入した場合の上部開放曝気槽からの飛散リスクは不明ではあるが、微生物拡散リスクの低減措置を講ずることは防疫の観点から重要である。農薬ドリフト対策に関する知見を参考に、適切な目合のラッセル織ポリエチレン防風ネット(高さ2m)を曝気槽の周囲にフェンス状に設置する手法の実用化を目的として検討を行う。
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成果の内容・特徴 |
- 上部開放型円形曝気槽周囲への飛沫飛散抑制効果は、ネット目合いにより大きく異なり、2mmでは効果が小さく、1mmでは効果が認められる。(図1)
- 該曝気槽四方位の外周液面上30~50cmで落下大腸菌数を計測すると、1mmネット内側では風速が速いほど多くの大腸菌が計数されるが、外側ではほとんど検出されない。(図2)
- ネットは、約2.5 m間隔で支柱を立て、支柱上端にワイヤーロープを張り渡し、そこに吊り金具で懸架する(図2左)。弱風時には下辺を固定し、かつ強風時には風圧を軽減するには、2kgのペットボトルとロープを用いた可動式ネット固定具を5m毎に取り付けるのが効果的である(図2右)。
- ネットは5m長のユニットを5cm幅の面ファスナーで係合して設置すると強風時に係合部が分離し風圧が軽減され、ネットおよび支柱の破損防止に効果的である。
- 直径20mの円形曝気槽外周に目合い1mmのネットユニットを15枚係合して設置した場合、最大瞬間風速7m以上で面ファスナーの分離が多くなりネットの破損は回避される。(図4)
- 一層確実な飛散抑制を図るためには、面ファスナーが分離した場合には、ネット下辺に沿わせて固定した信号線の断線を断線検知器により検知し、警報出力を利用してブロアーを停止させるのが効果的と推定される。
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成果の活用面・留意点 |
- 覆蓋が無く、かつ覆蓋の設置が困難な曝気槽での簡易対策になる。設置の資材費は1mあたりおよそ3000~5000円で、自力での設置も可能である。
- ネットの高さを2m以上にすると設置および保守管理の負担が増大するため、実用上2mが限界である。ネットへの面ファスナーの縫製加工はネットメーカーに依頼できる。
- 断線検知器によるブロアーの自動停止については、その確実性および誤作動の有無について今後長期的な検討が必要である。また、停止後の復帰を自動、手動のどちらで行うかについても検討を要する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2014/nilgs14_s17.html
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カテゴリ |
病害虫
加工
農薬
豚
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