露地ナス栽培圃場の畝断面における根の分布の簡易調査法

タイトル 露地ナス栽培圃場の畝断面における根の分布の簡易調査法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2009~2014
研究担当者 渡邊修一
笠原賢明
松森堅治
吉川弘恭
発行年度 2014
要約 本法は、調査対象の土壌断面に対して、2cm×4cmの窓を開けた調査板をあて、窓内に観察された根の本数を目視で計数する方法である。栽培現場で適用可能で、迅速に測定でき、測定結果の個人差が少ない。
キーワード 根量、簡易調査法、露地ナス、点滴灌水、根の分布
背景・ねらい 肥培管理や灌水管理といった根系を対象にして行われる栽培技術の確立にとって、根の広がり方を的確に把握することは極めて重要である。しかし、掘り取り法は時間と労力がかかるため多点調査には適用しにくく、また、土壌断面の根の多寡をスコア化して評価する方法は、観察者の主観が影響するため、調査結果に個人差が生じうる可能性がある。
そこで、栽培現場での多点調査に適用可能で、測定結果の個人差の少ない簡易な根系調査方法として、畝の土壌断面に露出する根を計数する方法を検討する。
成果の内容・特徴
  1. スコップなどで土壌に断面を作り、調査対象とする部分に、2cm×4cmの観察窓を開けた調査板をあて、窓内に観察された根の本数を目視で計数する調査方法(図1)である。
  2. 簡易調査法と掘り取り法による調査結果は、相関係数がr=0.731 の正の相関関係にあり(図2)、おおむね一致することが認められる。一本あたりの重量の異なる小根や中根を除いた細根のみの重量と根の本数の相関係数はr=0.877 である(図2)。
  3. 掘り取り法では採取した試料を実験室に持ち帰り、洗浄・分別などを行うため、時間と労力を要するが、簡易調査法では観察窓内の根を計数・記録するだけなので、直ちに栽培現場でデータを把握できる。
  4. 観察窓あたりの根の本数が20本程度であれば、異なる観察者間においても、おおむね一致する結果が得られる(図3)。ただし、根が極端に多い箇所では、観察者の経験不足による過大評価・過小評価の可能性がある(図3)。
  5. 調査対象の面的な調査ができるため根の広がり方が視覚的に理解しやすいコンター図の作成(図4)や、複数地点の反復調査ができるため、統計処理結果の表示も可能である。
  6. 点滴灌水を導入した露地ナス栽培圃場での調査事例では、点滴灌水チューブの敷設位置において根が著しく発達しているのが分かる(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 簡易調査法の開発と実証に用いた露地ナスでは、畝断面に露出した根のほとんどは、太さ0.5mm以下で、細根に相当する。太さの異なる根が観察された場合には、区別して計数・記録することも可能である。
  2. 掘り取り法による根重量との相関関係は認められるが、簡易調査法では根の太さや重さに関する情報は含まれないため、根重量の推計には適さない。
  3. 肥培管理や灌水管理など栽培環境条件が異なる根の比較調査で活用でき、ナス以外の作目では、ピーマン、小麦で適用事例がある。
図表1 237289-1.jpg
図表2 237289-2.jpg
図表3 237289-3.jpg
図表4 237289-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/warc/2014/warc14_s11.html
カテゴリ 小麦 栽培技術 なす ピーマン 肥培管理 水管理

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