タイトル |
赤かび病菌感染コムギにおいて濡れ時間はかび毒蓄積リスクの評価指標になる |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 |
2011~2014 |
研究担当者 |
黒瀬義孝
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発行年度 |
2014 |
要約 |
かび毒(デオキシニバレノール、DON)は、感染後の濡れ時間に応じてコムギに蓄積するため、濡れ時間はかび毒蓄積リスクの評価指標になる。濡れ時間とは、雨による濡れ時間と結露による濡れ時間の合計である。
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キーワード |
コムギ、赤かび病、かび毒、デオキシニバレノール、DON、濡れ時間
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背景・ねらい |
コムギが赤かび病菌に感染すると、コムギ穀粒中にかび毒(デオキシニバレノール、DON)が蓄積する。穀粒中のかび毒濃度が1.1 ppmを超えると、コムギは流通できなくなる。このため、かび毒が蓄積する前に追加防除を行う必要があり、かび毒蓄積リスクの評価が求められている。かび毒濃度は雨の多い年に高濃度となるため、濡れとの関係が指摘されている。そこで、かび毒の蓄積と濡れ時間との関係を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 赤かび病菌感染後の濡れ時間が100時間まではかび毒の蓄積は小さい。濡れ時間が150時間を超えると濡れ時間に応じてかび毒が蓄積する(図1)。濡れ時間は、かび毒蓄積リスクの評価指標になる。
- 感染リスクが最も高い開花期から濡れ時間を積算し、かび毒蓄積リスクを評価する。
- 濡れ時間とは、雨による濡れ時間と結露による濡れ時間の合計である。濡れ時間の3~5割は、結露による濡れである(表1)。
- コムギの登熟期間において、濡れ時間と相対湿度82%以上の時間はほぼ等しく(図2)、一般的な気象要素である相対湿度を用いてかび毒蓄積リスクを推定できる。相対湿度82%が、濡れを判別する閾値である。
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成果の活用面・留意点 |
- 濡れ時間は、赤かび病の追加防除を実施する時期の決定に利用できる。
- コムギ穂の濡れ時間を測定する手法はなく、濡れ時間は結露計(SKLW1900, Skye社)で測定した値である。小麦圃場に、結露計を穂とほぼ同じ高さ(1.0m)に設置して測定する。
- 濡れを判別する相対湿度の閾値(82%)は、コムギの登熟期間のみ有効な値である。
- 結露計や湿度計で濡れ時間を求める場合、センサーは圃場に設置する必要がある。市街地で測定された濡れ時間や相対湿度は使用できない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/warc/2014/warc14_s14.html
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カテゴリ |
病害虫
小麦
防除
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