農業用水路を活用した小水力発電のための塵芥侵入防止装置

タイトル 農業用水路を活用した小水力発電のための塵芥侵入防止装置
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター
研究期間 2012~2014
研究担当者 臼井善彦
藤井幸人
PHAN DANG TO
飯尾昭一郎
片山雄介
牧志龍男
鈴木栄二
発行年度 2014
要約 農業用水路に設置可能な塵芥侵入防止装置である。除塵スクリーン下部を満水とすることにより、塵芥を下流へ放流しながら、発電用の流水を取水することが可能である。塵芥を取り除く必要がないため、水車発電機の連続運転が可能であるとともに保守・管理作業の省力化が期待できる。
キーワード 小水力発電、除塵、塵芥、堰板、スクリーン
背景・ねらい 水力発電を行う上で、水路内に流入してくる塵芥が発電機の詰まりや破損を引き起こす恐れがあるため、塵芥を除去する方法が大きな課題となっている。ダムや河川等を利用する大規模な水力発電では、動力を用いた大型の除塵装置が既に利用されているが、農業用水路等を利用する小水力発電用に実用化された除塵装置はまだ少なく、このことが小水力発電の普及が進まない一因となっている。そこで、農業用水路を対象とした小水力発電のための塵芥侵入防止装置を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 本装置は、スクリーン、上・下流2枚の堰板、側面板、導水板、塵芥排水路から構成され、無電源での利用が可能である。上・下流2枚の堰板で水路内の流水を堰止めることにより、上流からの流水は堰板(上流側)の上端部で溢水し、スクリーン上を流れる水とスクリーン下に通過する水に分流される。落ち葉、雑草等の塵芥はスクリーンを通過できないため、塵芥排水路を経て下流に流される。スクリーンを通過した水は堰板(下流側)の取水口から取水され、発電等に利用可能である。小石、砂利等の比重の大きな塵芥は上流側堰板手前で堆積する(図)。
  2. 堰板(下流側)の取水口は、流量の多少に応じ取水量調節をすることが可能であり、流量が少ない場合でも堰板の上流側と下流側の間を満水に保つことでスクリーン上の流れを維持して塵芥を下流へ流すことができる。導水板は、スクリーン下に通過した水を下流方向へ導く効果があるため、落ち葉等のスクリーンへの堆積を防止できる。
  3. 多量の塵芥(雑草)を用水路に投入した場合、「塵芥侵入防止装置あり」では、詰まりが発生することなく水車の稼働を維持でき、電圧降下も7%程度で発電効率への影響は小さいのに対し、「塵芥侵入防止装置なし」では、詰まりが発生して水車が停止する(表1)。
  4. 塵芥侵入防止装置を設置することで塵芥の詰まりによる水車停止がなく連続的な発電が可能となる。また、水路外への越流被害を防止できる(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:小水力発電事業者、農業者
  2. 普及予定地域・普及予定台数等:小水力発電が可能な農業用水路等。市販化5年間で12台(全国の小水力発電可能な農業用水路595 ヶ所(環境省調べ)の約2%)
  3. その他:2015年度に現地実証を行った後、各地に導入する予定。下掛け水車、滝用水車等様々な水車に適用可能である。設置の際は、現場の流況に応じ、越流対策を講じる必要がある。
図表1 237325-1.jpg
図表2 237325-2.jpg
図表3 237325-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/brain/2014/14_082.html
カテゴリ 病害虫 雑草 市販化 省力化

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