タイトル | ラオスの養魚餌料として有望なアメリカミズアブの周年採卵技術 |
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担当機関 | (国)国際農林水産業研究センター |
研究期間 | 2011~2015 |
研究担当者 |
中村 達 森岡 伸介 |
発行年度 | 2015 |
要約 | インドシナ一帯に広く分布するアメリカミズアブHermetia illucensは、高栄養な養魚餌料として有望なことから、周年採卵が可能な成虫飼育および採卵法を明らかにした。これにより効率的な幼虫生産が可能となり、ラオス農村部の小規模農家が養魚に利用できる。 |
キーワード | ラオス土着昆虫, 未利用タンパク資源, 養魚餌料適用 |
背景・ねらい | ラオスの開発途上地域の農村部では、食料自給および動物性タンパク質摂取量の増大のために、魚類養殖の振興が強く求められている。しかし、農家への養殖技術普及を促すためには、養殖コストの中で大きな割合を占める餌料費を低減する必要がある。ラオス土着のアメリカミズアブの幼虫は(図1)、食料残渣や家畜の糞などで飼育でき、また高タンパクで良質な魚の餌となることから、餌料化による養殖コストの低減が期待できる。また、ラオス農村域では、昆虫類が農民の重要な食料源となっているものの、アメリカミズアブは食用とはなっておらず未利用な資源である。そこで、餌料化における問題点を整理するとともに、小規模農家でも実施可能な成虫飼育および採卵システムを開発する。 |
成果の内容・特徴 | アメリカミズアブは高水準の粗タンパク質をはじめとする栄養分を含んでおり(表1)、養魚餌料としての価値が高い。 ラオスでは、年間を通じて野外での産卵トラップへの成虫飛来が見られるが、産卵には季節性があり、産卵数が激減する時期がある(図2)。 アメリカミズアブの受精卵を得るためには、従来は2 m四方程度の大型網室に1,000頭あまりの羽化後間もない成虫を入れる必要があるとされてきたが、小型の網室(27 × 27 × 27 cm)に成虫100頭弱を入れることで受精卵を得ることができる(図1)。 受精卵を得るためには、広い空間以外に太陽光や電力消費量の大きい白熱灯が必須といわれてきたが、人工照明(40W蛍光灯と20W LEDランプ)でも受精卵が得られる(表2)。このときの産卵前期間は約4-5日、産卵期間は、人工照明下で平均7日、人工照明+太陽光下で平均9日であり、太陽光にあてた方が、人工照明のみよりも卵の受精率・孵化率が高い。 上記の小型網箱と人工照明を組合わせた方法を用いることで、低コスト・省スペースでの安定した幼虫生産が可能となる。 |
成果の活用面・留意点 | 産卵トラップにはスイカやメロンなどの果皮を用いることで、安価で効率的な採卵が可能となる。 受精卵の効率的生産のためには、成虫の交尾・産卵回数の把握、卵の受精率向上要因を明らかにする必要がある。 太陽光による受精率、孵化率向上のメカニズムを明らかにする必要がある。 日本を含めた他の地域でも気候や魚種を考慮した上で利用できる可能性が高い。 本種は人畜に害を及ぼすことはなく、また大量飼育しても、幼虫を餌として消費することで、成虫の増殖を防ぐことができる。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
研究内容 | https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2015_c02 |
カテゴリ | コスト すいか 低コスト メロン |