北海道太平洋沿岸・沖合におけるサケ幼稚魚の分布と春定置網での岩手産サケ幼稚魚の出現状況

タイトル 北海道太平洋沿岸・沖合におけるサケ幼稚魚の分布と春定置網での岩手産サケ幼稚魚の出現状況
担当機関 岩手県水産技術センター
研究期間 2013~2015
研究担当者 山根広大
発行年度 2015
要約 岩手県や北海道太平洋沿岸において秋サケの回帰尾数が減少していることから、太平洋沿岸でのサケ資源の減少要因を明らかにし、ふ化放流手法の改良を通じたサケ資源の回復に資することを目的とした。本研究では、漁業指導調査船岩手丸による北海道太平洋沿岸・沖合での幼稚魚の採集調査と春定置網での混入調査により、サケ幼稚魚の分布や岩手産サケ幼稚魚の出現状況の把握を試みた。
背景・ねらい 岩手県や北海道太平洋沿岸において秋サケの回帰尾数が減少していることから、太平洋沿岸でのサケ資源の減少要因を明らかにし、ふ化放流手法の改良を通じたサケ資源の回復に資することを目的とした。本研究では、北海道太平洋沿岸・沖合におけるサケ幼稚魚の分布と岩手産サケ幼稚魚の出現状況を明らかにするため、漁業指導調査船岩手丸による北海道太平洋沿岸・沖合でのサケ幼稚魚の採集調査と北海道太平洋沿岸に設置された春定置網に混入した岩手県産サケ幼稚魚の調査を実施した。
成果の内容・特徴 1.平成25~27年の6月下旬~7月上旬の期間に、北海道太平洋沿岸・沖合でのサケ幼稚魚の採集調査を実施した。平成25年の調査では広尾沖、阿寒川沖及び十勝川沖の岸よりの地点で合計30尾の幼稚魚が採集された。平成27年では厚岸沖、霧多布沖及び白糠沖の岸よりの地点で15尾が採集された。耳石温度標識を確認したところ、平成25年には30尾のうち10尾に耳石温度標識が施され、敷生・静内・八雲ふ化場由来の個体であった。平成27年においては、15尾のうち2尾に耳石温度標識が施され、静内・八雲由来の個体であった。調査海域の水温・塩分を測定したところ、いずれの年でも、大気・日照に暖められた沿岸親潮の影響を受けていること、沖合域では水温が高くサケ幼稚魚の適水温を超えていたが岸よりでは適水温の範囲内にあったことから、サケ幼稚魚は比較的水温の低い岸よりに分布していることがわかった(図1)。

2.平成24・25年に北海道太平洋沿岸の春定置網に混入したサケ幼稚魚の耳石温度標識を調べたところ、6月上旬~7月上旬の期間において、下安家・田老・津軽石・織笠・大槌・盛のいずれかのふ化場由来の個体、片岸ふ化場由来、織笠ふ化場由来、下安家ふ化場由来の個体が混入し、それらの尾叉長は75~127mmであった。これらの個体の海水移行時期を推定すると、平成24年では3月下旬から5月上旬、平成25年では4月上旬~下旬であることがわかった(図2)。これらのことから、岩手産のサケ幼稚魚は放流されてから2~3ヶ月後に、尾叉長75~127mmまで成長し北海道太平洋沿岸に到達していることがわかった。
成果の活用面・留意点 岩手県沿岸から北海道太平洋沿岸へ到達した岩手県産のサケ幼稚魚の分布状況、海洋環境、海水移行時期及び成長履歴の調査結果から、サケ幼稚魚の生き残りに適した放流時期や環境条件等を明らかとし、ふ化放流手法の改良を通じてサケ資源の回復を図る。
図表1 237503-1.jpg
図表2 237503-2.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=5140&YEAR=2015
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