タイトル | 鹿児島県海域におけるブリ類漁獲量の魚種組成とカンパチ類の資源動向 |
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担当機関 | 鹿児島県水産技術開発センター |
研究期間 | 2013~2014 |
研究担当者 |
宍道弘敏 |
発行年度 | 2015 |
要約 | 鹿児島県におけるブリ類漁獲量の魚種組成はブリ69.6%、ヒラマサ3.7%、カンパチ類26.7%であった。また、低緯度の海域ほどカンパチ類の割合が高かった。カンパチ類資源量指標値及び稚魚来遊量指数は、周辺海域の海面水温と有意な正の相関が認められた。以上の結果は、今後海面水温が上昇すると南西日本におけるカンパチ類の漁獲割合が増加することを示唆した。 |
背景・ねらい | 我が国における重要水産資源であるブリは、資源評価対象種として毎年資源評価が行われている。しかし、評価のベースとなる漁獲統計はカンパチ等“その他ブリ類”を含んでおり、ブリ単独の漁獲統計は未整備である。今後想定される海面水温上昇下において、暖海性種であるカンパチ類の資源変動がブリ資源の適正評価及び合理的管理に影響を及ぼす可能性が考えられ、その対策等議論のベースとなる基礎知見の蓄積が求められる。その一環として本研究では、温帯と亜熱帯の境界部に位置し、他県よりカンパチ類の漁獲が多いと思われる鹿児島県海域において、まずブリ類漁獲量の魚種組成を把握し、さらにカンパチ類の資源動向と海洋環境との関係を調べた。 |
成果の内容・特徴 | 1.1998年から2011年における鹿児島県内主要漁協のブリ類魚種別水揚げデータを集計した結果、平均魚種組成はブリ69.6%、ヒラマサ3.7%、カンパチ類26.7%であった。 2.カンパチ類の割合は、奄美海域(100%)>種子島・屋久島海域(83%)>鹿児島海域(10-30%)の順であり、低緯度の海域ほど高かった(図1)。 3.鹿児島県内の標本定置網1統における1993-2013年のカンパチ類資源量指標値(CPUE)は、西薩沿岸の秋季の海面水温と有意な正の相関関係が認められた(p<0.01)(図2)。 4.モジャコ調査時におけるカンパチ類稚魚の再捕結果から算出したカンパチ類稚魚来遊量指数は、東シナ海南部の冬季の海面水温と有意な正の相関関係が認められた(p<0.01)(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 本成果を踏まえ、今後想定される海面水温上昇に備えたブリ資源評価体制のあり方について議論を進め、南西日本おける海面水温変動とカンパチ類漁獲動向のモニタリングや、ブリ類魚種別漁獲統計の整備等への着手を検討する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=5089&YEAR=2015 |
カテゴリ | 亜熱帯 モニタリング |