クエ人工生産魚の鱗及び耳石の輪紋を用いた年齢査定方法の検討

タイトル クエ人工生産魚の鱗及び耳石の輪紋を用いた年齢査定方法の検討
担当機関 (国)水産総合研究センター 西海区水産研究所
研究期間 2011~2015
研究担当者 中川雅弘
菅谷琢磨
発行年度 2015
要約 クエ人工生産魚102尾(2~7歳)を用いて、鱗及び耳石の輪紋の形成状態及び形成時期を調べ、年齢形質としての有効性を検討した。鱗は体幹の4カ所から採取し、再生鱗の割合、鱗長及び輪紋数から最適な採鱗部位を検討した。その結果、耳石及び鱗に形成される輪紋は、1年に1本形成される年輪であることが示唆されるとともに、鱗は胸鰭の裏側にあたる部位から採取することが適していると判断された。
背景・ねらい クエは本州中部以南から東シナ海まで分布し、沿岸の岩礁域に生息する重要な漁獲対象種の一つである。本種資源を持続的に利用するためには、現状の資源状態を調べて、科学的根拠に基づいた管理体制の構築が必要である。そのためには、成長特性や成熟開始年齢などの生態情報や漁獲物の年齢組成などを把握して、資源管理方策を検討するうえで必要な情報を蓄積していくことが重要である。ところが、本種では年齢査定に必要な鱗や耳石輪紋の年齢形質としての有効性を検討した報告がなく、資源解析を行うための基本情報が乏しい。そこで、年齢が既知のクエ人工生産魚を用いて、鱗と耳石について輪紋の形成状態及び形成時期を調べ、両者の年齢形質としての有効性を検討した。
成果の内容・特徴 採鱗部位は、A:頭部側背部、B:尾部側背部、C:胸鰭の裏側、D:頭部側腹部とした(図1)。

再生鱗の出現割合は、部位Bが有意に高かった。有意差は認められなかったが、部位Cが最も低い値を示した(図2)。部位Cから採取された鱗は、他の部位の鱗に比べて有意に長かった(図3)。部位Cから採取した鱗の輪紋数と年齢の一致率は86.9%となり、他の部位の一致率(51.6%、69.7%、74.1%)に比べると高かった(図4)。耳石の輪紋数と年齢の一致率は、83.9%となった(図5)。鱗及び耳石の縁辺成長率は6月が最も低く、その直前の5~6月が輪紋の形成期であると推察され、これらの輪紋は1年に1回形成される年輪であることが示唆された(図6)。これらの結果、部位Cから採取した鱗と耳石の輪紋は、本研究で用いた年齢の範囲内では年齢査定に有効な年齢形質であることが示唆された。
成果の活用面・留意点 本研究で用いた部位C及び耳石の輪紋数は、7歳までの年齢形質としては有効であると考えられた。しかし、本種は全長1m に成長する種であるため、今後は天然魚や、より大型のクエを用いて、本研究で得られた結果の検証が必要である。
図表1 237525-1.jpg
図表2 237525-2.jpg
図表3 237525-3.jpg
図表4 237525-4.jpg
図表5 237525-5.jpg
図表6 237525-6.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=5061&YEAR=2015
カテゴリ

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる
S