タイトル | 福岡湾におけるテナガダコの成長と成熟 |
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担当機関 | 福岡県水産海洋技術センター |
研究期間 | 2011~2013 |
研究担当者 |
中岡 歩 杉野 浩二郎 |
発行年度 | 2015 |
要約 | ・福岡湾でのテナガダコの漁獲量は隔年で増減を繰り返している。 ・雄の性成熟度指数、雌の生殖腺重量指数から産卵期は8~9月頃と推定された。 ・9月に産卵された卵は約2ヶ月で孵化し、翌年9月には外套腹面長約4cmに成長し、翌々年の7月には約9cmとなる。その後、8月から9月には産卵し10月頃には死亡、寿命は約2年と推定された。 |
背景・ねらい | テナガダコは、福岡湾において小型底びき網漁業やかご漁業により漁獲される重要種である。漁獲されたテナガダコは、主に韓国へ食用として輸出されるとともに、県内では延縄漁業の餌としても需要が高い。 テナガダコは漁獲変動が激しく、これを安定させるためには資源管理の取組が必要であるが、研究事例が少なく、生態に関する基礎知識が不足している。 そこで、福岡湾におけるテナガダコ資源を持続的に利用するため、その成長、成熟に関する調査を行った。 |
成果の内容・特徴 | 1.漁獲状況 テナガダコの漁獲量の推移を見ると、隔年で増減を繰り返しながら、漸減している(図1)。月別漁獲量を見ると、小型底びき網では主に4~8月、かごでは1~8月にかけて漁獲され、小型底びき網は7月,かごは3月と6月が盛漁期となっている(図2)。 2.成熟 テナガダコの雄の性成熟度指数(MIM)、雌の生殖腺重量指数(GSI)を求めたところ、雌雄ともに9月に最も高くなり(図3)、この結果から産卵期は8~9月頃と推定された。また、雌では外套腹面長で7cm以上から成熟個体が現れた。 3.成長 外套腹面長組成の月別推移と過去の知見(産卵から孵化までの期間:約2ヶ月、孵化直後の頭長:0.7cm)から成長曲線を算出した(図4)。これによると、9月に産卵された卵は11月に孵化し、翌年9月には外套腹面長約4cm(70g)に成長する。さらに翌々年の7月には約9cm(400g)となる。その後、8月から9月には産卵を行い、10月頃には死亡、寿命は約2年と推定された。 |
成果の活用面・留意点 | 得られた知見から、テナガダコの隔年の豊凶の要因の一つとして、毎年漁獲主体となる群が交互に入れ替わっているものと推測される。 テナガダコの資源を持続的に利用するために、8~9月に漁獲される1歳未満の未産卵群の漁獲を抑制し翌年の産卵群を残すことや産卵場の保護が重要であると示唆された。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=5124&YEAR=2015 |
カテゴリ | 成長曲線 輸出 |