閉鎖循環型飼育システムを導入したカサゴ種苗生産における燃料コストの削減

タイトル 閉鎖循環型飼育システムを導入したカサゴ種苗生産における燃料コストの削減
担当機関 佐賀県玄海水産振興センター
研究期間 2013~2015
研究担当者 江口勝久
重久剛佑
発行年度 2015
要約 カサゴ種苗生産において、閉鎖循環型飼育システムを量産規模で導入し、生産コストや成長・生残率等について、従来の掛け流し式飼育と比較・検討を行った。その結果、成長・生残率については、有意な差が見られなかったものの、燃料コストは従来の方法と比較して大幅に削減できた。
背景・ねらい カサゴの種苗生産は冬期に生産を開始するが、低水温で飼育すると成長が遅く飼育期間が長期化し、餌料等のコストが掛かる。このため、加温飼育を行っているが、近年、燃油価格が高騰しており、加温経費も年々増加している。そこで、注・排水をほとんど必要とせず飼育水を再利用する閉鎖循環型飼育システムを量産規模(50トン水槽)で導入(図1)し、燃料コストの削減効果等について掛け流し式飼育と比較・検討を行った。
成果の内容・特徴 飼育餌料等は、掛け流し式と同様の方法で行った。飼育開始から日齢50までの成長を比較した結果、両試験区ともほぼ同様の成長を示した(図2)。生残率は、飼育途中で分槽を行ったため、最終的な取上数の比較はできないが、底掃除による斃死尾数から推定すると、閉鎖循環型飼育の方が若干生残率が良い傾向にあった。閉鎖循環区と掛け流し区の加温に要した熱量を比較表に示した(表1)。この熱量に加え空気中に逸散した熱量を考慮に入れコスト試算を行った。逸散した熱量を推定するために事前調査を行った結果、24時間で2℃低下したことから、日当たりの逸散熱量は2(℃)×4.2(J/kg・℃)×1,000=8,400(J/kg)で一定と仮定した。加温に要した熱量の日当たりの平均値を用いて、各区の消費した熱量の平均値を比較すると、閉鎖循環区:10,251+8,400×45(t)=338,251(J)、掛け流し区:1,444,800+8,400×40(t)=1,780,800(J)であり、その比は閉鎖循環区:掛け流し区≒1:4.6であった。飼育期間における加温ボイラーの燃料(灯油)費は、1,356,400円であったことから、各区の加温コストを試算すると閉鎖循環区:1,356,400×1/5.6≒242,214(円)、掛け流し区:1,356,400×4.6/5.6≒1,114,186(円)となり、その差額は約87万円であった。本試験の結果、加温コストは、掛け流し式と比較して約22%(約78%削減)であり、飼育期間中に約87万円の削減ができたと考えられた。飼育システムの初期費用は、泡沫分離装置、紫外線殺菌装置、濾材等を合わせて約350万円であったが、維持費や電気代等を加味しても5年以内に初期費用を上回る削減効果が期待できると考えられる。
成果の活用面・留意点 今後、本飼育システムを活用し、燃料コストの削減を行うとともに、他の機関で有効性が確認されている低塩分飼育を実施することで、耐病性の向上によるさらなる安定生産が期待できると考えている。
図表1 237530-1.jpg
図表2 237530-2.jpg
図表3 237530-3.jpg
図表4 237530-4.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=5225&YEAR=2015
カテゴリ コスト

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