有明海におけるノリの色落ち原因珪藻Asteroplanus karianus休眠細胞の復活特性

タイトル 有明海におけるノリの色落ち原因珪藻Asteroplanus karianus休眠細胞の復活特性
担当機関 佐賀県有明水産振興センター
研究期間 2013
研究担当者 松原賢
発行年度 2015
要約 近年、A. karianusは有明海におけるノリの色落ち原因珪藻として重要視されているが、その赤潮形成メカニズムは解明されていない。今回、本種の休眠細胞の復活に至適な水温を調べたところ、15℃付近であることが示唆された。このことが、本種赤潮が冬季に限定的に発生する要因の一つと考えられた。
背景・ねらい 有明海佐賀県海域では近年、羽状目珪藻A. karianusがノリ漁期に高密度な赤潮を恒常的に形成するようになった。本種の赤潮形成時期である12月中旬~1月中旬は、ノリ養殖の二期作目である冷凍網期が開始され、「一番摘み海苔」に代表される高品質で高価なノリが生産される重要な時期である。この時期のノリを色落ちさせるため、本種は非常に問題視されている。しかし、本種がノリの色落ち原因珪藻として注目され始めたのは比較的近年のことであり、その生理・生態に関して不明な点が多い。とりわけ、本種が一年で水温および日射量が最も低い冬季に限定的に赤潮を形成する理由は全くの謎であり、そのメカニズムの解明が現場から強く求められている。

本研究では本種の赤潮形成メカニズム解明への一助とすべく、水温が休眠細胞の復活率および復活後の栄養細胞の増殖に与える影響を調べた。
成果の内容・特徴 1)試験方法

 有明海佐賀県海域で採取した底泥試料を用い、異なる7段階の水温(6.5、10、15、20、25、27.5、30℃)におけるA. karianus休眠細胞の復活率および復活後の栄養細胞の増殖を調べた。すなわち、各水温区において底泥試料をMPN法に供し、100×(各水温におけるMPN値)÷(10℃におけるMPN値)の式で10℃を基準とする復活率を算出した。また、底泥試料を培地に懸濁し、各水温区において5日間培養後に本種の細胞密度を調べることで復活後の増殖を調べた。

(2)結果

 A. karianusは全ての水温区で復活し、復活率は15~25℃で高く、復活後の増殖は15℃で最も高かった(図1)。今回の試験結果を総合すると、本種の復活に至適な水温は15℃付近であると示唆された。このことが、本種赤潮の発生が冬季に限定される要因の一つと考えられた。
成果の活用面・留意点 A. karianusの赤潮形成メカニズム解明に活かされる。
図表1 237531-1.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=5087&YEAR=2015
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