タイトル |
放牧草地の草量を2地点のみの計測から簡易に推定する方法 |
担当機関 |
(国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 |
2010~2015 |
研究担当者 |
中神弘詞
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発行年度 |
2015 |
要約 |
放牧草地の最大草量と最小草量を示す2地点のみをライジングプレートメータで計測し、それらの値を計算シートに入力することで、牧区内の平均草量を簡便に推定できる。
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キーワード |
公共牧場、草量推定、放牧地、牧場管理、ライジングプレートメータ
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背景・ねらい |
放牧草地の草量の測定と記録は、放牧密度や施肥管理の適否判定を可能とするため、牧場管理の効率化に不可欠である。しかし、従来の草量測定法では、1点あたりの測定は瞬時に行えるライジングプレートメータ(RPM)を用いたとしても、牧区内の多地点を移動しながら測定する必要があり、牧区全体の測定には多大な時間と労力を要するため、多くの牧場では測定を行わず、おおよその勘に頼った管理が行われている。そこで、現場の日常管理の中で実践できる極めて簡便な草量推定法を新たに提示する。
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成果の内容・特徴 |
- 本方法は、牧草放牧草地の草量がガンマ分布に近似できることを応用したもので、牧区内の草量が最大・最小となる2地点をRPMで測定することにより、牧区全体の平均草量を簡易に把握することができる(図1)。
- 牧区内の草量が最大・最小となる地点の選定は100平米程度の広がりを単位として目視で行い、各地点内のRPM値は10点程度の平均値とする(図2)。平均草量の計算は図3に示す計算用Excelシートを用いる。測定地点に面積の広がりを持たすことで選定作業が容易になり、また、測定が2地点のみであるため、精度の高い多点測定のRPM法(牧区全体を偏りなく移動しながら100点程度をRPMで測定する方法)と比較して牧区内での移動距離が大幅に短縮される(面積1~10haの平坦な牧区での試算で25 ±7%に短縮される)ため、面積が大きく起伏に富んだ放牧地で特に省力性が高い。
- RPM値を草量に換算するために、過去数年分のデータに基づく既存の検量線の係数を図3の計算シートに入力する。既存の検量線がない場合でも、作成に必要なデータ(50 cm四方の調査枠内のRPM値と刈り取り草量を、放牧期間中に数日~1ヶ月おきに毎回2~20点取得する)を同じ計算シートに随時入力することで、検量線が自動作成されて草量推定に反映される。
- 上述した精度の高い多点測定のRPM法と比較して、本方法でもそれと同程度の推定値が得られることから(図4)、日常管理で使える実用的な方法である。本方法により、草量の季節的な推移をモニタリングすることで、施肥管理や放牧密度の適否を具体的な数値から判断でき、合理的な放牧管理が可能となる。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:牧場管理者、普及指導員
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国の寒地型永年牧草の放牧地。
- その他:検量線に関する詳細は、平成25年度研究成果情報「季節性の組み入れによるライジングプレートメータの検量線の推定精度向上」(http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2013/nilgs13_s04.html)を参照されたい。平均草量の推定を簡便に行うためのExcelシートは畜産草地研究所webサイト内で公開する予定である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2015/15_020.html.html
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カテゴリ |
寒地
施肥
モニタリング
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