タイトル |
透明カップを用いたダイズシストセンチュウ密度推定法 |
担当機関 |
(国)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 |
2011~2015 |
研究担当者 |
相場聡
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発行年度 |
2015 |
要約 |
容量420mlの透明容器の内側壁面にダイズシストセンチュウ感受性ダイズの種子を貼り付けて圃場の土壌を詰めて圃場に埋設し,8週間後に根に着生したシスト数を外側から肉眼で計数する事によってダイズシストセンチュウの密度を推定できる。
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キーワード |
ダイズシストセンチュウ、密度推定、簡易診断技術
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背景・ねらい |
ダイズシストセンチュウ(以下、SCN)はマメ類栽培における重要な難防除害虫であるが、発病後の対処は難しいために事前に圃場の本線虫発生状況を把握して対策を立てることが重要である。土壌から本線虫を分離して密度を測定するには専門的な器具や技術が必要なため、診断用ダイズ品種を播種し、後日掘り上げて根に着生した雌成虫を観察する植物検診法が主に行われているが、この手法は播種した地点の発生状況しか診断できないため、圃場内での密度分布が偏りがちな本線虫を評価するためには多数設置する必要があり、調査の労力が大きくなる問題点がある.そのため、透明な容器を用いた簡便なダイズシストセンチュウ密度推定法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 容量420mlのポリエチレンテレフタラート製カップの底面に穴を開け、内側壁面上部に幅11mmの紙製テープでSCN感受性ダイズ品種「湯あがり娘」の種子を3粒貼り付けた調査用容器を作成する(図1)。
- 作成した容器に調査する圃場の土壌を詰めてそのまま圃場に4ないしは5つ程度を埋設して栽培し(図2)、8週間後に掘り出して容器外部から根に着生したシストの数を計数する(図3)。
- 北海道地域においては、視認されるシスト数が25より少ない場合はおおよそ乾土1gあたり10卵以下の低密度と考えられる(図4)。
- 調査する土壌は圃場全体から採集したものを混和して用いることにより、圃場全体の傾向が把握できる。また、一部分の土壌を用いた場合はその部分の密度を推定できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 本線虫の要防除水準は栽培する品種や栽培法によって異なるため、その地域に適合した要防除水準を策定した上で、本手法によって推定された密度を合わせて線虫対策の基礎資料とする。
- カップの埋設場所は線虫を外部に持ち出さないために採取した圃場内とする事が望ましいが、農作業による破損等が生じないように埋設場所を考慮する。
- 乾燥や病害虫によるダイズの生育障害がシストの着生数に影響する可能性があるため、乾燥時の灌水や鳥害、病害虫対策等の管理を行う。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/harc/2015/harc15_s15.html
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カテゴリ |
病害虫
えだまめ
害虫
簡易診断
乾燥
大豆
鳥害
播種
病害虫防除
品種
防除
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