中山間地における平均風速および突風率の推定法

タイトル 中山間地における平均風速および突風率の推定法
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2009~2015
研究担当者 松田周
柴田昇平
発行年度 2015
要約 開発した風況シミュレーションプログラムは、標高や土地利用、気象データと組み合わせることにより、中山間地の任意の地点における過去の平均風速および突風率を推定することができる。
キーワード 中山間地、風況シミュレーション、平均風速、突風率
背景・ねらい 中山間地における風の流れはその起伏に富んだ地形の影響を強く受けており、立地条件によってハウスの強風被害の受けやすさが異なっている。強風被災時の風況を把握することは、今後発生する同様の気象条件時のハウスの応急対策につながる。また、ハウス倒壊の一要因である最大瞬間風速を推定するためには、平均風速と突風率(=最大瞬間風速/平均風速)を推定・評価することが重要である。そこで、地形・気象条件を入力値とした風況シミュレーションプログラムを用いて、平均風速と突風率を推定する手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 国土地理院発行の数値地図と気象庁配信の数値予報値MSM-GPV( Meso Scale Model - Grid Point Value)の気圧面データおよび国土交通省配信の国土数値地図を入手し、解析対象格子点(図1)上の標高、風向風速および地表面格子内の平均粗度長を準備する。
  2. 1.のデータを入力値として、開発した風況シミュレーションプログラムを実行する(図2)ことにより、中山間地の任意の地点における平均風速および突風率を推定できる。なお、解析対象領域が大きく計算に時間がかかる場合は、メッシュ分割を不等間隔にする(図1)ことにより、計算時間が短くなる。
  3. 風況シミュレーションプログラムは、圧力場と速度場のみを扱っており、乱流モデルにはLES(Large Eddy Simulation)を用いている。初期値および流入条件はMSM-GPV内挿値、側方・上方条件はすべり、流出条件は対流流出、下方条件は粘着条件である。
  4. 本推定手法を用いて、多くのパイプハウスが被害を受けた2004年の台風23号による被災地形・気象条件で計算すると、アメダス久万における平均風向風速の推定は比較的良く(表1)、突風率は2011~2014年に観測した平均風速-突風率のプロット群に収まる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 本手法は、強風時におけるハウスの応急対策(耐風・防風対策)の基礎資料作成に活用できる。
  2. 国土地理院発行の数値地図は日本地図センターから7,714円で入手できる。国土交通省配信の国土数値地図(土地利用細分メッシュデータ)は国土交通省、気象庁配信の数値予報値は京都大学生存圏研究所のホームページよりダウンロードできる(ただし、研究目的に限る)。
  3. MSM-GPVは、過去のある時点から39時間後までの地表面および気圧面の予報値である。気圧面データは3時間ごとの予報値であり、上流端から算出したい地点までの距離や風速によっては、指定した地点における希望時刻の風速を算出できない。
  4. メッシュ分割を不等間隔にする場合、隣り合う格子幅の比は1:1.2以下とする。
  5. 本シミュレーションプログラムは、機構本部を通じて利用可能である。インテル®;CoreTM i5(3.30GHz)CPUを内蔵するPCを用いて、132×100×36メッシュ(図1)、1,000ステップ条件で計算すると約1時間かかる。
図表1 237835-1.gif
図表2 237835-2.gif
図表3 237835-3.gif
図表4 237835-4.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/warc/2015/warc15_s08.html
カテゴリ 中山間地域

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