赤外光を利用したササゲ子実タンパク質含有量の迅速評価技術

タイトル 赤外光を利用したササゲ子実タンパク質含有量の迅速評価技術
担当機関 (国研)国際農林水産業研究センター
研究期間 2012~2020
研究担当者 村中 聡
庄野 真理子
石川 春樹
発行年度 2016
要約 赤外光を利用してササゲ子実の粉体サンプルの窒素含有量を推定し、これをタンパク質含有量に換算することにより、育種過程で利用可能な子実タンパク質含有量を迅速に評価できる。
キーワード アフリカ, ササゲ, タンパク質, 赤外分光法, 選抜, 環境影響評価
背景・ねらい アフリカの伝統的なマメ科作物であるササゲ(Vigna unguiculata (L.) Walp)は、農家の現金収入源であるとともに、タンパク質や微量栄養素の供給源として重要な役割を果たしている。このため、近年では従来の育種目標である収量や病害虫抵抗性の向上に加え、子実の品質・栄養価向上を視野に入れた品種開発の重要性が指摘されている。特に、タンパク質は人々の成長に欠かせない要素であることから、ササゲの子実タンパク質含有量は地域に適切な品種の開発を考える上で重要な形質の一つである。本研究では、ササゲ子実の重要な品質関連形質であるタンパク質含有量に着目し、有望系統の選抜や栽培環境の影響の迅速な評価に利用可能な評価技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 子実窒素含有量の多様性を広範囲に網羅するササゲ遺伝資源224系統919点の粉体サンプル(図1)について、燃焼法を用いて測定した窒素含有量実測値と、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いて得た近赤外(4000 - 4985 cm-1/ 約2500 - 2006 nm)および中赤外(1400 - 2290 cm-1/ 約7143 - 4366 nm)スペクトルを用いて、赤外分光法によりササゲの子実窒素含有量を精度良く(R2 = 0.91)推定できるモデルを作成した。
  2. 作成したモデルは、栽培地や年度、施肥量による影響を受けずに、西アフリカのササゲ栽培地に卓越する3つの農業生態系で栽培したササゲの子実窒素含有量を精度良く(R2 = 0.90 - 0.92) 推定できる(図2、表1)。
  3. ササゲ子実のアミノ酸組成を基に算出したタンパク質含有量と窒素含有量実測値の関係(図3)から得られたササゲ独自の窒素−タンパク質換算係数5.45を利用することで、精度良く窒素含有量をタンパク質含有量に変換することが可能となった。
  4. 従来法(燃焼法)を用いた場合の試料秤量を含む測定時間約870秒/サンプルに対し、赤外光を利用した評価技術では、約100秒/サンプルと迅速にササゲ子実タンパク質含有量を評価できる。
成果の活用面・留意点
  1. 開発した子実タンパク質含有量の迅速評価技術により、アフリカ各国のササゲ育種プログラムでタンパク質含有量に留意した親系統の選定や育種過程での選抜を実施できる。
  2. 栽培環境による子実タンパク質含有量の影響の評価が容易となり、これらの知見が育種や地域ごとに適切なササゲ栽培技術の開発に利用される。
オリジナルURL https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2016_b01
研究内容 https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2016_b01
カテゴリ 育種 遺伝資源 害虫 栽培技術 ささげ 施肥 抵抗性 評価法 品種 品種開発

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