ウシエビのイエローヘッドウイルス(YHV)は共食いにより感染拡大する

タイトル ウシエビのイエローヘッドウイルス(YHV)は共食いにより感染拡大する
担当機関 (国研)国際農林水産業研究センター
研究期間 2011~2015
研究担当者 筒井 功
浜野 かおる
Aue-umneoy Dusit
発行年度 2016
要約 室内実験により、イエローヘッドウイルス(YHV)に感染した個体を共食いしたウシエビが同ウイルスに感染し、被害が拡大することを明らかにした。共食いによる感染リスクは水を介してのそれよりも大きいことから、養殖現場においては、共食いの機会を減らす対策が重要である。
キーワード ウシエビ, イエローヘッドウイルス(YHV), 共食い, 感染拡大
背景・ねらい 熱帯域におけるクルマエビ類の集約的養殖は、地域の経済を支える重要な産業である。しかし近年、疾病の頻発(図1)によって養殖生産が不安定化しており、早急な解決が求められている。イエローヘッドウイルス(YHV)は東南アジア諸国に多く発生するエビ病原ウイルスのひとつで、1990年に世界で初めてタイで報告されて以来、各地で深刻な被害をもたらしている。YHVの感染機構は明らかになっておらず、養殖現場では水を介した水平感染を防ぐために可能な限り水の交換を行わない。このことが水質悪化、ひいては生産性の低下につながっている。そこで、飼育実験により、ウシエビのYHV感染機構を解明し、疾病防除及び被害軽減策を提言する。
成果の内容・特徴
  1. YHV感染個体を共食いさせた実験区(共食い区)では、10日以内にウシエビの9割以上が重度感染し死亡する(図2、表1)。一方、フィルターを挟んで共食い区と連結した水槽(YHV汚染水区)では、共食い区に比べて感染強度や感染率、死亡率が有意に低い(図2、表1)。また、YHV汚染水区において軽度に感染しながら生き残ったウシエビのYHV感染強度は、30日後から60日後にかけて低下する(表1)。ウシエビのYHV感染は、水からよりも感染した個体を共食いすることによる方が深刻である。
  2. YHVに感染して死亡した個体の鰓を12及び24時間後に採取しその磨砕液を健康なウシエビに筋肉注射すると、死亡12時間後に採取した鰓の磨砕液を注射した区では4日後にすべてが死亡するが、死亡24時間後のものを注射した区では7日後に1個体が死亡するに止まる(表2)。YHV活性は、感染個体の死亡12時間後には高いが、24時間後には大きく低下する。
  3. 以上より、ウシエビ養殖現場においては、水中のYHVに感染する可能性は低いため、水を介した感染を恐れて水交換を避ける必要はない。また、健康な個体が感染死亡後24時間以内の個体と遭遇して共食いにいたる確率を低減する方策、例えば潜水による死亡個体の回収や低密度での生産等が、YHVの感染防除に有効である。
成果の活用面・留意点
  1. 適切に養殖池の水を交換して良好な水質を維持することにより、YHVに軽度に感染した個体の快復も期待できる。
  2. 本成果は、SPF稚エビの導入と組み合わせることにより、一層の効果が期待できる。
  3. 養殖池内における最初のYHV感染要因が不明であり、さらに詳細な検討が必要である。
オリジナルURL https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2016_c06
研究内容 https://www.jircas.go.jp/ja/publication/research_results/2016_c06
カテゴリ 病害虫 防除

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