タイトル | 2014年夏季北海道日本海沿岸における暖水性有害赤潮生物2種の初記録 |
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担当機関 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構中央水産試験場 |
研究期間 | 2013~2015 |
研究担当者 |
嶋田宏 |
発行年度 | 2016 |
要約 | 平日毎日の生鮮海水試料のモニタリングによって、近年西日本を中心に甚大な漁業被害をおよぼしている暖水性有害赤潮生物シャットネラ・マリナ(既報の国内分布北限:京都府舞鶴湾)およびコクロディニウム・ポリクリコイデス(既報の国内分布北限:京都府栗田湾)が、北日本で初めて、北海道日本海沿岸で確認された。暖水種分布拡大の原因としては、対馬暖流による自然輸送が想定された。 |
背景・ねらい | ・背景:2013年春季の大型珪藻(コスキノディスクス)ブルームによる「ヌタ」発生および地まきホタテガイの肥大を契機として、平日毎日の生鮮海水試料の顕微鏡観察を継続した。 ・ねらい:平日毎日の表面水温観測と同時に得られる生鮮海水試料を用いて植物プランクトンを顕微鏡観察し、春季珪藻ブルームおよび有害有毒プランクトンブルームを監視すること。 |
成果の内容・特徴 | 有害ラフィド藻シャットネラ・マリナは2014年7月上旬に初めて出現し、2015年にも7月中旬から9月上旬の期間に複数回出現した(表1)。有害渦鞭毛藻コクロディニウム・ポリクリコイデスは2014年8月下旬から9月下旬の期間に複数回出現した。これらの暖水種の出現は水温20℃以上の高水温期に集中しており、分布拡大の原因としては対馬暖流による自然輸送が想定された。一方、船舶バラスト水による人為輸送を想定して小樽港で底泥採集を行い、シャットネラのシスト検出を試みたが、非検出であった。 |
成果の活用面・留意点 | 本研究により、北海道沿岸において複数回にわたって暖水性有害種の出現が確認されたことは、暖水種による有害赤潮の発生リスクが北日本でも高まりつつあることを示す。しかしながら現在は、我が国北日本においては固定海水試料を用いた有殻渦鞭毛藻(貝毒原因種)の監視のみが行われているため、シャットネラやコクロディニウムのような無殻種は見逃されている可能性が高い。今後は北日本においても、暖水種による有害赤潮の発生を想定しつつ、生鮮海水試料を用いた無殻種の監視を開始する必要がある。他方、船舶バラストによる移入を想定しつつ、港湾等における栄養細胞およびシストの監視も重要である。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=6023&YEAR=2016 |
カテゴリ | くり ばら モニタリング 輸送 |