漁家所得の向上と経営安定を目指した養殖漁場の環境収容力に関する研究

タイトル 漁家所得の向上と経営安定を目指した養殖漁場の環境収容力に関する研究
担当機関 岩手県水産技術センター
研究期間 2013~2015
研究担当者 加賀 克昌
内記 公明
加賀 新之助
筧 茂穂
神山 孝史
阿部 博和
発行年度 2016
要約 良質な二枚貝を持続的に生産できる漁場利用の在り方を漁業関係者に提示することを目的として、岩手県大船渡湾を対象に、カキの成長、漁場の環境や河川水流入量に基づく海水交換量等のデータを3年間蓄積し、餌料供給量を指標とした環境収容力の推定のための基本的手法を構築するとともに、湾内のマガキ養殖量を変化させた時に推定される餌料現存量の周年変動を元に適正養殖量を推定した。
背景・ねらい 震災を契機として高齢化した漁業者の廃業が見られる現状において、震災前の生産量まで回復するためには、意欲のある若い漁業者の規模拡大や新規の着業を誘導することが不可欠であり、科学的な調査結果に基づく海域の適正養殖量を提示することが喫緊の課題となっている。

そこで、大船渡湾を対象として、持続的かつ適正な二枚貝養殖のための最大養殖量を明らかにするため、当所と水産教育・研究機構東北区水産研究所が共同でマガキ養殖場の環境や餌料プランクトンの生産力、カキの成長状況、海水流動・交換等を把握するための現地調査と解析を実施した。
成果の内容・特徴 栄養塩は4月の中底層に明確なピークがあり、夏季に表層で枯渇する傾向にあった。基礎生産速度は夏季の表層で高くなる傾向があった(図1)。カキは水温の上昇とともに成長したが、産卵により8~11月に乾重量が大きく減少する傾向が認められた(図2)。

各月の塩分収支に基づくボックスモデルから、塩分躍層(4m層)を境界として大船渡湾を上下2層のブロックに分割し、塩分の拡散や移流から月毎の海水交換量を推定した結果、3年間の海水交換量は32~369 m3/s(平均136m3/s)、湾内滞留時間は6~74日(平均24日)となり、海水交換は冬季に高くなる傾向が認められた。 湾内の餌料生産量と消費量の収支の余剰分あるいは不足分が、当該月の現存量に付加あるいは差し引かれることによって翌月の現存量をもたらすと仮定し、推定される翌日の現存量の推定値が±20%精度で翌月の現存量の実測値に一致するように、推定できない餌料供給と消費量を調整した。これを基に湾内の養殖量を変化させて試算したところ、カキの現存量を1割増やすとカキの身入りが11月に約3割減少し、現存量を1割減らすと10~12月に約2割増加する試算結果が得られた(図3)。
成果の活用面・留意点 大船渡港湾口防波堤が平成29年3月に完工予定であり、静穏化の進行に伴う貧酸素水塊の発生が懸念される一方で、新工法である湾口底部の導水管による海水交換の促進効果を把握するため、震災前と完工前後のデータの比較や経年変化の把握に向けた環境調査を継続する予定である。 
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=6090&YEAR=2016
カテゴリ かき 規模拡大 経営管理

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