高鮮度ホッケの架橋反応特性に関する研究

タイトル 高鮮度ホッケの架橋反応特性に関する研究
担当機関 地方独立行政法人北海道立総合研究機構網走水産試験場
研究期間 2010~2014
研究担当者 蛯谷幸司
菅原玲
飯田訓之
発行年度 2016
要約 北海道特産の魚種であるホッケは、「坐り効果がない(坐りにくい魚)」とされているが、死後直後もしくは硬直中の高鮮度ホッケには坐り要因の1つされる架橋重合体が強く形成されることを見出した。TGase失活抑制にはソルビトール添加が有効なことを示した。高鮮度ホッケ落とし身から調製した二段加熱ゲルのゲル物性は、25℃予備加熱(坐り)1時間で顕著に増加し、「坐り効果」を確認した。
背景・ねらい ホッケ(Arabesque Greenling)のすり身品質は,スケトウダラに比べて,旨味はあるが、加熱ゲルの物性は低く、色調も白色度が劣ることから、魚肉ソーセージやかまぼこ食感をあまり必要としない揚げかまぼこ等に利用されている。演者らは高鮮度ホッケに坐り要因の1つされる架橋重合体が強く形成されることを見出した。そこで高鮮度ホッケの架橋反応特性を明らかにするため,ホッケTGaseの熱安定性、Ca要求性、基質特異性等について検討した。また、高鮮度ホッケ落とし身から調製した二段加熱ゲルの「坐り効果」について検証した。 
成果の内容・特徴 (1)死後硬直中(0日目)のホッケは、25℃加熱(坐り)中に、ミオシンHCの明瞭な架橋重合体の形成が認められた。しかし、5℃保管した翌日以降のホッケには架橋重合体はほとんどみられなかった。また、MDC(Monodancylcadaverine)取り込みからトランスグルタミナーゼ(TGase)による架橋反応と推察された(図1、2)。

(2)高鮮度ホッケから抽出した粗酵素溶液に種々濃度のソルビトールを添加し、5℃保管中のTGase活性の変化を検討した結果、ソルビトール濃度の増加とともに失活抑制されることがわかった(図3)。

(3)ホッケTGaseのCa2+要求についてスケトウダラ筋肉ホモジネート(Mf)を基質にスケトウダラTGaseと比較検討した結果、CaCl2濃度の増加に伴い架橋反応は進行し、両社で同様に高分子のミオシンHC架橋体成分が形成された(図4)。

(4)高鮮度ホッケ落とし身から調製した加熱ゲルの破断強度は、25℃予備加熱(坐り)1時間で顕著に上昇し、予備加熱を行わない直加熱ゲルの1.7倍に増加した(図5)。

(5)これらの結果から,ホッケのTGaseが非常に不安定なことが,ホッケすり身に坐り効果が期待できない要因の1つであると考えられた。
成果の活用面・留意点 高鮮度ホッケ落とし身に含まれるTGase活性を活用した新たな練り製品素材が期待できる。また、他の魚種においても、高鮮度の原料魚でのゲル化特性の検討とその利用法の開発が必要である。 
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=6234&YEAR=2016
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