タイトル | 鰻生息状況等緊急調査事業 |
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担当機関 | 神奈川県水産技術センター |
研究期間 | 2013~2014 |
研究担当者 |
戸井田伸一 安藤 隆 |
発行年度 | 2016 |
要約 | 神奈川県におけるシラスウナギの漁獲は12月から翌年4月にかけて、集魚灯を使用したすくい網により行われている。しかし、漁獲量は平成10年度の1,716kgから平成25年度の47kgにまで減少し、資源水準は低位で推移している。ウナギ資源の現状は不明点が多く、保全や資源管理を行う上で大きな問題であることから、水研センターを中心とする試験研究機関とウナギに関する基礎的知見の蓄積を図った。 |
背景・ねらい | 2014年6月、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストにニホンウナギが「絶滅危惧種(EN:絶滅危惧1B類)」として新たに掲載された。ニホンウナギが減少した要因として、食用のための過剰な漁獲、海洋環境の変化、河川の自然環境の変化などが考えられている。 |
成果の内容・特徴 | 1 県が取りまとめているシラスウナギ漁獲量から、シラスウナギの多い時期は、2008年度以前は12月~2月、2009年以降は2月~4月と遅れる傾向にあり、漁期が短くなっていた。また、黒潮の分岐流が相模湾奥に入る時には漁獲量が増加していた。2 河川への加入時期について調べた酒匂川では、5~6月にかけて小型個体数が増加した後、緩やかに減少していた。翌年1月以降、色素の薄いシラスウナギが多数採捕されたとから、1月以降が資源添加時期と考えられた。3 標識放流調査を行った酒匂川において、2014年5月から2015年3月までの間に13回、電気ショッカーを用いてニホンウナギを1,643尾採捕し、200g以上の大型個体には、ICタグ標識を付けて再放流した。その結果、7月以前には上流域への移動が多く、8月以降は下流域への移動が増えていた。9月~11月は下流域で大型個体が多数採捕されたことから、産卵のため海へ下るものと考えられた。4 ニホンウナギが多く採捕された環境は、大石~小石の環境では大型個体、砂~粗礫の環境では小型個体が多かった。大きな障害物がある緩い流れではさまざまな大きさの個体が採捕され、浅く流れの早い瀬では小型個体が多く生息していた。5 相模川ではボラ、ハゼ類、エビ類、ハエ目(ユスリカ)が多く、酒匂川ではハエ目、カワゲラ目、カゲロウ目が多く摂餌されていた。早川ではハゼ類、アユ、カワゲラ目、トビケラ目が多く、千歳川ではハゼ類、アユ、カワゲラ目、トビケラ目依存度が高くなっていた。相模川、酒匂川ではハエ目ユスリカ科が多く食べられており、小型個体の貴重な餌料となっていた。また、河川により好んで食べる餌料の割合が異なっていた。 |
成果の活用面・留意点 | ニホンウナギは限られた時期に海へ下ることから、降下の時期に親魚保護を図る必要がある。また、体長により生息環境が異なることから、成長段階に応じた環境を整えることにより、生残率の向上が期待できる。特に稚魚は特定の場所に多く集まる傾向があることから、保護区による小型魚保護を図られる可能性がある。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=6231&YEAR=2016 |
カテゴリ | ICタグ |