小型無人航空機から得た画像の3次元再構成技術と台風被害調査への応用

タイトル 小型無人航空機から得た画像の3次元再構成技術と台風被害調査への応用
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2011~2016
研究担当者 杉浦綾
発行年度 2016
要約 小型無人航空機(UAV)により得られた空撮画像は、開発したソフトウエアで処理され、撮影対象の3次元形状を自動で再構成する。3次元再構成データは、一例として台風による河川氾濫で流失した農地の面積や復旧に必要な客土量等の推定に利用できる。
キーワード 小型無人航空機、ドローン、空撮画像、3次元再構成、被害調査
背景・ねらい 小型無人航空機(UAV、ドローン)による空撮は、迅速に広範囲を撮影できることから大規模圃場の作物生育観測に利用でき、得られる画像は高分解能であるため、生育診断や病害検出、形質評価への応用が期待される。これまでに作物の草高や地上バイオマス量の計測、圃場の地形測量を目的として、空撮画像から3次元立体を自動で再構成できるソフトウエアを開発した。数ヘクタール規模の畑作圃場の画像を対象としたソフトウエアであるが、作物観測以外の応用として台風による被害実態調査へ利用する。2016年9月北海道十勝地域で台風による大雨で河川が氾濫し周辺圃場の土壌が流失するなど甚大な被害を受けた。北海道芽室町内の被害圃場90haを空撮し、被害面積や復旧に必要な客土量等を推定する。
成果の内容・特徴
  1. 画像の3次元再構成技術は従来の二眼ステレオビジョンを複眼に拡張したものであり、連続的に撮影された空撮画像の場合、撮影高度に関係なく、画像間で重複があれば、その部分の立体形状を復元できる。
  2. 空撮により連続的に得られた圃場画像は、開発した3次元再構成ソフトウエアで処理される。ソフトウエアは、特徴点抽出、カメラ位置を推定するバンドル調整、被写体の3次元形状を復元するマルチステレオ、絶対座標系への変換で構成され、すべて自動で処理される。
  3. 得られた3次元形状データは水平面へ投影することで2次元マップを生成する。図1は被害圃場の一部で、32.5haの圃場を高度120mから撮影した画像572枚で構成されている。この2次元マップから目視により被害面積が得られる。
  4. 圃場の3次元形状データをもとに、復旧後の地表面を設定すれば、必要な客土量を推定できる(図2)。また、客土を別の圃場を削土して得る場合、その圃場の3次元形状データから採取可能な土壌量が推定できる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. UAVによる空撮は1200万画素で対角線画角104°のカメラを使用したが、同等かそれ以上の解像度の画像であれば、カメラによらず3次元再構成が可能である。
  2. 自動飛行、マニュアル操縦にかかわらず得られた画像の3次元再構成は可能であるが、画像間の重複は60%以上が望ましい。
  3. 空撮画像から再構成した3次元形状は地上測量ほどの精度はなく、カメラや撮影対象、撮影高度等によって数センチメートルから数メートルまで変化する。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/harc/2016/harc16_s01.html
カテゴリ ドローン

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