ジベレリンとプロヒドロジャスモン、エテホンの組み合わせ処理はウンシュウミカン引きもぎ収穫性を向上させる

タイトル ジベレリンとプロヒドロジャスモン、エテホンの組み合わせ処理はウンシュウミカン引きもぎ収穫性を向上させる
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門
研究期間 2010~2013
研究担当者 佐藤景子
生駒吉識
発行年度 2016
要約 ジベレリンとプロヒドロジャスモンの混合液を9月下旬に散布し、エテホンを200~300 ppmの濃度で10月下旬から11月上旬に散布した場合には、果実品質を損なわずにウンシュウミカンの引きもぎ成功率が13.8~20%から51.3~82.5%に改善される。
キーワード ウンシュウミカン、果皮硬度、収穫、省力化、植物成長調節剤
背景・ねらい ウンシュウミカン栽培では、労働時間の中で収穫・調整作業の占める割合が高く(31%)、収穫作業の省力化が求められている。省力収穫技術として、ハッサクではエテホン(ET)による引きもぎ収穫が実用化されているが、ウンシュウミカンは果皮が破れやすく、引きもぎ収穫が難しい。近年、ジベレリン(GA)とプロヒドロジャスモン(PDJ)の混合液を散布することで、ウンシュウミカンの浮皮を軽減する技術が開発された。この混合液を処理した果実は果皮の老化が抑えられるため、果皮の硬さが維持される。そこで、本研究ではETに加えてGAとPDJを果実に処理することにより果皮の硬さを保ち、ウンシュウミカンの引きもぎ収穫性を向上させることを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. ウンシュウミカン「シルバーヒル温州」成木において、GA 5 ppmとPDJ 50 ppmの混合液(GP混合液)を9月下旬に散布すると、引きもぎ成功率が28.8%向上する(表1)。また、GP混合液を9月下旬に散布し、10月下旬から11月上旬にET 200~400 ppmを散布した場合には引きもぎ成功率が無処理の13.8~20%に対して51.3~90%と向上する(表1、2)。
  2. GAとPDJの混合液を散布することにより、果実硬度と果皮抗張力は無処理よりも高くなる(表1、2)。着色歩合はGAとPDJの混合液を散布することで無処理よりも低くなるが、GAとPDJに加えてETを散布することで着色が回復する。糖度はET 400 ppmを散布することで減少するが、ET 300 ppm以下では影響はみられない。酸度には影響はみられない。
  3. ET 300 ppmの散布により落葉が37.1%起こるのでそれ以下が適切と考えられる(データ省略)。
  4. 落葉の問題から、ETの濃度は300 ppmよりも低い濃度が適切であると考えられる。ただし、ETの濃度が200 ppmの場合、GP混合液を散布しても引きもぎ成功率は51.3%に止まる。
成果の活用面・留意点
  1. ETの引きもぎ収穫を目的とした使用はハッサクのみに登録がある。GAとPDJの混合液を散布については浮皮軽減目的の登録であるため、引きもぎ収穫を目的とする場合には新たに農薬の目的利用拡大を行う必要がある。
  2. 引きもぎ収穫はハサミ収穫と比較して収穫時間が約半分となるため(山田ら、1982)、植物成長調節剤を散布する労力が付加されても、実用化できれば省力効果は大きいと考えられる。
  3. 引きもぎ収穫された果実はいずれもヘタが欠ける。また、失敗した果実は果皮が破れるため保存性がない(図1)。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nifts/2016/nifts16_s03.html
カテゴリ 病害虫 温州みかん 省力化 農薬 はっさく

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