中山間地の精密な気象データをアメダス等から推定する農地環境推定システム

タイトル 中山間地の精密な気象データをアメダス等から推定する農地環境推定システム
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 西日本農業研究センター
研究期間 2013~2017
研究担当者 植山秀紀
吉越恆
柴田昇平
根角博久
岡田周平
大木秀行
発行年度 2017
要約 地形が複雑な中山間地の任意地点の気温、日相対湿度、日積算日射量、日積算降水量、日積算基準蒸発散量、6時間先降水量を、短期間の気温の実測とアメダス観測値等から推定し、推定データをパソコン、スマートフォン等でみえるシステムである。
キーワード ICT、精密気象情報、アメダス、気温データ自動収集装置
背景・ねらい 圃場毎の精密な気象環境を知るため、気象ロボット等の観測機器が数多く開発されてきたが、メンテナンス費用の負担等が必要であった。また、実際の観測によらず圃場の気象データが取得できる1km解像度のメッシュ農業気象データが開発されているが、斜面温暖帯等の局地気象が発達する中山間地では解像度が粗く、適用は困難な場合がある。そこで、アメダス等の公共のデータを利用して、中山間地域等の複雑な地形であっても、農地の精密な気象環境を安価に推定できる農地環境推定システムを開発し、圃場ごとの気象環境に応じた最適な技術の導入や精密な栽培管理の実現を加速化させる。
成果の内容・特徴
  1. 農地環境推定システムは、1km解像度のメッシュ農業気象データの適用が困難な中山間地域の圃場でも、気象庁が配信するアメダス観測値、全球数値予報モデル、1kmメッシュ解析雨量・降水短時間予報GPVから、観測機器等の維持管理の手間をかけずに、実用的な精度で、気温、日射量、相対湿度、蒸発散量、降水量を推定できる(表1、2)。
  2. 気温、湿度、蒸発散量の推定値が提供されるには、最初に現地で気温を3カ月程度(6~8月を除く)測定する必要がある。次に、アメダスによる気温、湿度、蒸発散量の推定モデルが作成される。日射量および降水量の推定には観測は必要ない。気温観測中は、気温観測値とそれによる湿度、蒸発散量の推定値が提供される。最後に、地点登録を経て気象データが、ウェブ型サービスによりユーザーに提供される。
  3. 現地の気温観測値は、ユーザーが独自に観測したデータの利用も可能であるが、商用電源のない露地で精度の良い気温観測を実施するには、高価な機材が必要になる。そこで、商用電源を必要とせずにアメダスと同程度の精度で気温を観測できる通風シェルター(農研機構の特許第6156792号または特開2016-173261による)による、気温データ自動収集装置(図2)を用いる。
  4. 推定された気象データは、数値やグラフとしてスマートフォンやパソコンで見える(図1)。また、気象データを利用したサービスがユーザーのシステムに追加されることで、オーダーメードの栽培情報の提供が可能である。現在、公設試が開発した手法による、カンキツ黒点病防除情報および果樹のアザミウマ類発生予察情報が提供されている。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:精密な気象情報を栽培管理に利用する経営体、研究者、普及指導員等。
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:園芸作物の栽培農家及びJA等の関連団体、公設試験研究機関等への普及を予定している。現在、西日本地域の14の公設試験場等により、45地点以上で稼働中である。
  3. その他:現在は、カンキツ研究ネットワークに参加する公設試等による試験運用のみであるが、(株)ビジョンテックから有償サービスとして提供予定である。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/popular/result100/2017/17_062.html
カテゴリ 病害虫 ICT 経営管理 栽培技術 中山間地域 防除 ロボット その他のかんきつ

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