タイトル | 道東海域の雑海藻駆除技術の高度化の検討 |
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担当機関 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構釧路水産試験場 |
研究期間 | 2013~2016 |
研究担当者 |
合田浩朗 |
発行年度 | 2017 |
要約 | コンブ漁場の人為的な維持管理として実施する「雑海藻駆除」について、より効率的、経済的な駆除を可能にするため、雑海藻駆除を実施する「時期」や「駆除強度(雑海藻残量)」とその後生えてくるコンブ量との関係を検証し、より効率的で経済的な雑海藻駆除基準を作成した。これにより、雑海藻駆除期間の延長や、費用対効果の検討が可能となり、コンブ漁家の経営の改善に貢献することが期待される。 |
背景・ねらい | 北海道のコンブ生産量は、1946年以降は3万トン前後で推移していたが、1990年代に入ると減少傾向に転じ、2006年に2万トンを下回り、近年では1万5千トン前後まで低下している。この減少要因の1つに、コンブ以外の雑海藻の繁茂による漁場の荒廃がある。コンブを繁茂させるためには、コンブ漁場の人為的な維持管理として「雑海藻駆除」が不可欠であるが、その駆除経費の地元負担は小さくない。そこで、雑海藻駆除を実施する「時期」や「駆除強度(雑海藻残量)」とその後生えてくるコンブ量との関係を検証し、より効率的、経済的な雑海藻駆除基準を作成することにより、コンブ漁家の経営の改善を目指す。 |
成果の内容・特徴 | 北海道東部海域で重要な水産資源であるナガコンブの胞子体の発芽・初期成長に及ぼす光や栄養塩などの影響を培養試験により調べた。また、実際のコンブ漁場において、水温、栄養塩、光環境などの物理化学的環境と雑海藻駆除後に生えてくるコンブ量の調査を行った。その結果、雑海藻駆除の働きとは、主に胞子体の発芽と初期成長期における光環境の改善にあることが明らかになった。また、成長に欠かせない環境中の栄養塩(溶存態窒素)は11月~3月まで豊富にあり、1月や3月に雑海藻を駆除してもコンブの繁茂は良好であることが分かった。以上から、コンブ遊走子の浮遊期間だけを考慮した従来の指針(釧路水産試験場1995)による駆除期間11~1月を、胞子体の発芽まで考慮した11~3月まで延長可能であることが明らかになった(図1)。 次に、雑海藻駆除の強度(雑海藻残量)とその後に生えてくるコンブ量との関係を検証した。これまでの指針では雑海藻残量が200g/m2以下となるまでの駆除強度が必要とされていたが、250g/m2でも優良漁場と遜色ないコンブの繁茂(密度10本/m2以上)が期待できることが分かった(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 駆除期間を延長できたことで、管理するコンブ漁場を広げることができる。また、駆除強度とその後生えてくるコンブ量との関係があきらかになったことで、雑海藻駆除の費用対効果の検討が可能となった。これらの成果は、コンブ漁家の経営の改善に貢献すると期待される。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=7119&YEAR=2017 |
カテゴリ | 経営管理 |