花を利用した認知リハビリテーションの手引き書

タイトル 花を利用した認知リハビリテーションの手引き書
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜花き研究部門
研究期間 2011~2016
研究担当者 望月寛子
山川百合子
発行年度 2017
要約 SFAプログラム(花を利用した認知リハビリテーション法)は、認知機能の改善やメンタルヘルスケアの手段として利用可能である。SFAプログラムの訓練法と臨床試験結果を紹介した手引き書を作成し、冊子体とwebで公開している。
キーワード フラワーアレンジメント、脳機能、訓練、手引き書、メンタルヘルス
背景・ねらい 2010年に発表した花を用いた認知リハビリテーション手法(Structured Floral Arrangement Program:SFAプログラム)は、生花の新しい利用法として花き業界で注目を集め、関連商品の取り扱いは全国に広がっている。近年では、一般消費者からの問合せも多く、積極的な情報発信が求められている。そこで、SFAプログラムの詳細な実施手順と、これまでの臨床試験結果をまとめ、手引き書を作成する。
成果の内容・特徴
  1. 手引き書は冊子体の他に農研機構野菜花き研究部門および一般社団法人フラワーライフスタイリスト協会のwebサイトで閲覧可能である(図1)。
  2. SFAプログラムでは、吸水性スポンジに付けられた●や▲印に花材を手順通りに挿していく(特許第5201552号)。パズルを組み立てるようにフラワーアレンジメントを繰り返し作成するプログラムである(図2)。印はスポンジに凹状に付けられているため、視力の低い利用者も指で触ることによって印の位置を確認できる。
  3. 臨床試験ではSFAプログラムを1から2週間実施している。統合失調症患者(n=10)では、視覚性記憶力の検査得点が3.8点から5.1点へと有意に向上する結果が示されている。受傷後3年が経過した外傷性脳損傷の40歳代男性では、左半側空間無視の症状が改善し、その効果は5ヵ月後も持続している(図3a)。左半側空間無視とは、脳の右半球への広汎な損傷によって左視野の刺激に注意が向き難くなる症状である。脳卒中後の50歳代男性では描画能力が向上し、視覚空間認知能力の改善が示唆されている(図3b)。
  4. 東日本大震災で被災し、仮設住宅で生活している女性24名(平均57.5歳)を対象にSFAプログラムなどを通して、花や緑がある生活を3ヶ月間提供し、提供前と提供後にGeneral Health Questionnaire-28(GHQ-28)によるメンタルヘルスの評価を行っている。GHQ-28で評価される4つの要素のうち、身体的症状(頭痛や倦怠感)と、うつ傾向(無気力感など)では、"症状なし"に分類された参加者数が増加する傾向を認めている(表1)。
  5. 初心者でも簡単にフラワーアレンジメントを作成できるSFAプログラムは、医療だけでなく、高齢者施設や学校(花育)、地域イベントなどのレクリエーションにも利用可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:一般消費者、花き小売店、学校、高齢者施設を運営する事業者および病院等
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:SFAプログラムを実施するための吸水性スポンジと花材のセットは許諾先の全国25店舗以上で販売されている。現在、資材会社が特許許諾先となって印付きスポンジの卸売り体制を整えている。2017年度中には許諾先以外の全国の生花店もSFAプログラムの関連商品の販売が可能となる。
  3. その他:医療や福祉へのSFAプログラムの普及は、花きの需要フロンティアを開拓し、国産花きの消費拡大に貢献することが期待される。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/popular/result060/2017/17_052.html
カテゴリ くり 消費拡大

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