タイトル |
形式手法を用いた遺伝子ネットワーク解析手法に関する研究 |
担当機関 |
(国研)水産研究・教育機構 |
研究期間 |
2014~2015 |
研究担当者 |
伊藤宗平
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発行年度 |
2017 |
要約 |
遺伝子間の調節関係を表した遺伝子ネットワークについて、ソフトウェア科学的手法によりその振る舞いをモデル化し、解析する手法を開発する。
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背景・ねらい |
遺伝子とは、細胞核内に収められたDNA(二重らせん構造として知られる)という物質上に符号化された情報である。遺伝子はその生成物であるタンパク質により他の遺伝子の発現を制御する(図1)ことで、細胞の概日リズムを作り出し、部位による細胞の働きの違いを生み出す。細胞の働きを理解するためには、個々のタンパク質の機能分析のみならず、遺伝子の調節関係から生み出される動的振る舞いを解析する必要がある。本研究では、遺伝子の調節ネットワーク(図2)を、ソフトウェア科学の手法を用いて解析する。
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成果の内容・特徴 |
本研究では、遺伝子ネットワークの時間的振る舞いを、各遺伝子が発現しているか否か、また、各遺伝子の発現レベルの時間的変化として表す(図3)。遺伝子ネットワークの振る舞いは、その中にある遺伝子間の活性・抑制関係により定められる。この原理に基づき、本研究では、遺伝子ネットワークの「可能な振る舞い」を論理式を用いて記述する手法を開発した。これにより、与えられた遺伝子ネットワークの「可能な振る舞い」の集合を計算で求めることが可能になり、その中にある性質を満たすものが存在するか、あるいは全ての振る舞いがある性質を示すかをコンピュータ上で判定することができる(図4)。本解析手法の有用性を確認するため、緑膿菌の遺伝子調節ネットワークやストレス応答ネットワークの解析を行った。
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成果の活用面・留意点 |
本研究の解析手法は、コンピュータ上ですべてモデル化・解析が済むため、実施が容易である。そのため、関心のある生物学的仮説を本手法によりあらかじめ検証しておくことで、実際の生物において成立する見込みのある仮説だけを抽出することができ、実験対象を絞り込むことが可能である。本研究の水産分野への応用として、水産養殖の分野において、どのような栄養素が魚類の成長に効果的であるかをコンピュータ上で推定することにより、養殖用飼料の開発の一助となることが考えられる。
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研究内容 |
http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=7241&YEAR=2017
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カテゴリ |
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