タイトル | アサリ稚貝の成長に対する低分子化アルギン酸と真正眼点藻ナンノクロロプシスによる併用給餌の有効性 |
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担当機関 | (国研)水産研究・教育機構 |
研究期間 | 2015~2016 |
研究担当者 |
山崎康裕 多賀茂 岸岡正伸 |
発行年度 | 2017 |
要約 | アサリ種苗生産の課題である微細藻類の培養不良等による餌料不足解決のために酸性多糖のアルギン酸と低コストで安定した大量培養が可能であるナンノクロロプシスによる併用給餌の有効性を調べた。結果、30万 cells/mLのナンノクロロプシスと4 mg/Lの低分子化アルギン酸の併用給餌区におけるアサリ稚貝の成長は一般餌料種である珪藻キートセロス給餌区と比べ有意に高く併用給餌の有効性が示された。 |
背景・ねらい | アサリ種苗生産における課題として、微細藻類の培養不良などによる餌料不足が挙げられる。近年、珪藻 キートセロス(Chaetoceros neogracile) と酸性多糖の1種であるアルギン酸の酸加水分解物(以下、低分子化アルギン酸とする)の併用給餌が、アサリ稚貝の成長促進に有効であることが見出された。一方、真正眼点藻 ナンノクロロプシスは、低コストで安定した大量培養が可能である反面、二枚貝への餌料効果は必ずしも高いとは言えない。そこで本研究では、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis sp.)と、低分子化アルギン酸による併用給餌の有効性を調べた。 |
成果の内容・特徴 | ナンノクロロプシス 単独、ナンノクロロプシス と4 mg/Lの低分子化アルギン酸の併用、およびキートセロス 単独の給餌区について20日間の給餌試験を行った。その結果、300000 cells/mLの ナンノクロロプシス と4 mg/Lの低分子化アルギン酸の併用給餌区におけるアサリ稚貝の成長は ナンノクロロプシス 単独給餌区より顕著に高く(図1, 2)、好適餌料として広く用いられている キートセロス 給餌区と同程度であった(図2)。また、低分子化アルギン酸は、ナンノクロロプシス の増殖に影響を与えず(図3)、低分子化アルギン酸の存在それ自体がアサリ稚貝の成長を促したと考えられた。以上の結果より、 ナンノクロロプシス と低分子化アルギン酸の併用給餌は、アサリ種苗生産の短期化や低コスト化に寄与すると期待される。 |
成果の活用面・留意点 | 本研究の成果は、アサリをはじめとする二枚貝種苗生産における餌料不足を補う技術として活用できる可能性がある。一方、本研究は20L程度の規模で試験を実施したため、実用規模(0.5~1トン程度)での検証が必要不可欠である。 |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=7235&YEAR=2017 |
カテゴリ | 低コスト |