シャコガイ類にはどのような褐虫藻が共生しているのか?

タイトル シャコガイ類にはどのような褐虫藻が共生しているのか?
担当機関 (国研)水産研究・教育機構 西海区水産研究所
研究期間 2014~2016
研究担当者 山下洋
小池一彦
池田正太
森島慎也
近藤忍
井上顕
発行年度 2017
要約 シャコガイ類はサンゴ礁に生息する大型の食用二枚貝で体内に褐虫藻と呼ばれる藻類を共生させる。本研究ではシャコガイ類種苗生産の安定化のために、シャコガイ類に共生する褐虫藻の遺伝子型組成をシャコガイの種や殻長の別に調べた。その結果、シャコガイは種によって共生する褐虫藻の組成が異なり、またヒレジャコでは殻長が小さい方が多様な遺伝子型の褐虫藻を共生させていた。
背景・ねらい シャコガイ類はサンゴ礁海域に生息する大型の食用二枚貝で、体内に褐虫藻と呼ばれる微細な藻類を共生させて自身の成長や生存に利用している。サンゴ礁周辺に暮らす人々は古くからシャコガイ類を重要な水産資源として利用してきたが、天然の資源量は近年著しい減少傾向にある(図1)。そのため、沖縄県ではシャコガイ類の種苗生産を実施しているが、残念ながら種苗の安定供給には至っていない。これはシャコガイ幼生と褐虫藻との共生関係を飼育下で成立させることが極めて困難なことに起因する。そこで本研究では、種苗生産に適した褐虫藻を探るため、まずはシャコガイ類に共生する褐虫藻の遺伝子型組成を明らかにすることを目的とした。

成果の内容・特徴 沖縄県で種苗生産の対象となっているヒメジャコとヒレジャコを対象に調査を実施した。沖縄県水産海洋技術センター石垣支所の調整池で長年飼育されていた、様々な大きさの両種のシャコガイをそれぞれ約100個体採取し、外套膜中に共生する褐虫藻の遺伝子型組成を調べたところ、ほとんどのヒメジャコが1つの遺伝子型の褐虫藻を共生させるのに対し、ヒレジャコの多くは複数の遺伝子型の褐虫藻を同時に共生させていた(図2)。また、ヒレジャコについては殻長が大きくなるにつれて、褐虫藻の多様性が失われていくようであった(図3)。
成果の活用面・留意点 シャコガイ類の種苗生産時には、シャコガイ幼生に成体シャコガイの褐虫藻を与えて共生成立を促す。この時、ヒメジャコにおいては殻長に関わらずほぼ単一の褐虫藻を共生させていたため、どのような殻長の成体ヒメジャコを用いても与えられる褐虫藻はほとんど変わらないだろう。一方で、ヒレジャコにおいては様々な遺伝子型の褐虫藻を幼生にあたえる場合には、殻長の小さなヒレジャコを使用すればよいことが解った。なお、ここで紹介した成果は後述する学術論文で公表済みである。
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=7128&YEAR=2017
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