成熟しないブリを作る試み

タイトル 成熟しないブリを作る試み
担当機関 (国研)水産研究・教育機構 西海区水産研究所
研究期間 2014~2018
研究担当者 山口寿哉 他7名
中条太郎 他6名
発行年度 2017
要約 三倍体ブリを作出し、生殖腺の発達状況を対照区(二倍体)と比較した。2歳に達した時点で卵巣を観察した結果、二倍体では様々な成熟段階の卵母細胞が確認できたのに対し、三倍体では卵原細胞のみであり、成熟が抑制されていると考えられた。なお、三倍体では精巣を有するオスは確認されなかった。
背景・ねらい 養殖ブリは成熟年齢に達すると、春から夏にかけて体重が減少する。この体重減少は生殖腺の成熟や産卵に起因すると考えられているため、成熟や産卵をしないブリを作出することができれば、この問題を回避できると考えられる。そこで、他魚種で不妊の効果が確認されている三倍体をブリで作出し、成熟期における生殖腺の発達状況を確認した。
成果の内容・特徴
  1. 平成27年4月に西海区水産研究所五島庁舎で人工授精により得られたブリ受精卵に低水温処理(受精3分後から20分間、5℃を維持)を行った。対照区(二倍体)は未処理の受精卵を使用した。
  2. 低水温処理区および未処理区の受精卵より得られた仔魚を用いて種苗生産を行った。全長30cmに達した時点でフローサイトメトリーにより倍数性を確認し、低水温処理区で三倍体のみを抽出し、飼育を継続した。全長30cm時点の低水温処理区における三倍体出現率は70.7%であった。なお、未処理区には三倍体は出現しなかった。
  3. 平成29年4月(2歳)にサンプリングを行い、各区15尾について生殖腺を調べたところ、二倍体では精巣を有するオス7個体と卵巣を有するメス8個体が確認できたが、三倍体はすべての個体がメスであり、精巣を有するオスは確認できなかった。二倍体の卵巣は周辺仁期から卵黄球期までの卵母細胞が存在した(図1)のに対し、三倍体の卵巣内は卵原細胞のみであり、卵母細胞は確認できなかった(図2)。GSI(生殖腺重量指数:生殖腺重量/魚体重×100)は二倍体メスが平均1.49に対し、三倍体メスは平均0.08だった(図3)。なお、サンプルの平均体重は二倍体が2.22±0.40kg、三倍体が2.05±0.47kgであり、両者の間に有意な差は認められなかった(t検定、p>0.05、図4)。
成果の活用面・留意点 三倍体ブリの卵巣内は2歳の成熟期の時点では、卵原細胞のみであり、成熟が抑制されていると考えられた。今回の実験では供試魚の実験終了時における平均体重が約2kgであり、養殖ブリの一般的な出荷サイズ(4kg)に達していなかった。そのため、さらに1年間飼育を継続し、出荷サイズでの成熟状況および体重減少の有無を確認する必要がある。
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=7044&YEAR=2017
カテゴリ 出荷調整

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